大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

断酒日記【357日目】 ~コミットメントとは選び続けること、すなわち自己との内面との対話を続けること

さて、断酒357日目。

いよいよ区切りの一年まであと少しである。

先日、ライフワークカウンセラー&コーチの岩橋隆盛さんがブログで断酒について書いておられた。

ameblo.jp

その中の「とりあえず断酒を始めてみて、そして毎日飲まないことを選択し続けてきた」という箇所に、首が千切れんばかりに頷いた。

私も同様のスタンスで、これまで断酒を続けることができたからだ。

ちなみに私と岩橋さんは、断酒を始めた時期が近く、お酒についての想いや、お互いの断酒についての想いについての共感を、ブログに綴ったりしている。

断酒日記 【242日目】 - 大嵜 直人のブログ

お酒と僕の関係について② | たかたかのブログ

私を含めて身近に断酒をした人を見ていると、何かを続けるためのマインドというのは、「一度決めたことを貫き通す、確固たる決意」のようなカタイものではなく、「常に選び続けること」というもののように思えるのだ。

何かを決断して、それを続けようとするとき。

その決断は、心理学的には「コミットメント」と呼ばれる。

そのことに対して肚をくくって向き合う覚悟、というようなニュアンスだろうか。

断酒をする、何かの勉強を始める、ブログを毎日書く、この人を愛する…誰にでもいろんな決断があるけれども、それを続けるためには「何が何でも、決めたことを守り通す固い決意」のようなものが必要なように見える。

実際、そうしたものの方が「わかりやすい」し、何となくそう見える。

けれども、そうした決断は、往々にして簡単に破られてしまう。

「飲んではダメだ」、「遊んではダメだ」、「サボってはいけない」、「憎んではいけない」…そう思えば思うほど、それを抑えるのは難しくなるのは、誰でも経験したことがあるのではないだろうか。

脳は否定形を認識しないと言われるが、「〇〇はダメ」と考えると、〇〇のことしか考えられなくなり、なかなかその状態になってしまうと、頭の中からそれを追い出すことは難しい。

ということは、「〇〇しない」という決意をもっと強くすることは、全くもって逆効果になってしまうとも言える。

何かを続けるために大切なのは、逆説的だけれども「飲んでもいい」、「勉強しなくてもいい」、「毎日書かなくてもいい」、「愛さなくてもいい」という許可を自分に下ろしてあげることではないだろうかと思う。

断酒を守れない、勉強が続けられない、毎日書けない、愛せない自分でも、認めるということ。

または、自分を鎖できつく縛るのではなく、自分に自由を与えてあげる、ということ。

それこそが、肚をくくる=コミットメントと呼ばれるものの正体なのかもしれない。

その上で、「どうしたい?」と、日々自分に問いかけることを続けること。

岩橋さんが書いておられるのは、恐らくそういうことであり、私もそのようにして今日まで来れた気がする。

もちろん、「今日はどうしたい?」と自分の内面と対話をするなかで、「今日は何となく飲みたいなぁ」という日も当然あるだろう。

その声を聞いた上で、「じゃあ、飲んじゃおうか」なのか「それでも、止めておこう」なのかは、大きく違うように思う。

三歳児に「それはダメ!」と大きな声で無理矢理諭すと大惨事になるように、その声を聞かずに「絶対に、飲酒ダメ!」としていると、自分の内面の声を無視してしまうことになる。

そうして自分の声を無視することが重なると、気づかないうちに無気力や鬱になるか、その逆にどこかで爆発するか、になってしまうのだろう。

「うーん、そうだよな、飲みたいよな…その代わりに、甘いものじゃダメかい?それとも、どうしても飲みたいなら、しょうがないよな。飲んじゃう?」というように、日々自分の気持ち、感情を感じ続け、己との会話を続けること。

それこそが、コミットメントするということであり、自分を愛するこということなのだろう。

そう考えると、決して断酒をするという現実的な側面だけが、自分を愛することではないように思う。

それはあくまで結果であり、たとえ断酒が途絶えたとしても、それは自分を大切にしたと言えるのではないだろうか。

コミットメントは、選び続けること。

それは、己の気持ちや感情を感じ続けるということ。

それはすなわち、自分の内面との対話を続けるということ。

それは、自分を愛する、ということ。

この一年近く、断酒はいろんなことを教えてくれている。

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シャーリー・テンプル。

レモン・ライム・ソーダのベースに、赤いザクロを使った「グレナデン・シロップ」加えたカクテル。

ノンアルの旅に出なければ、このカクテルに出会うこともなかった。