大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

砂上に舞う、名手たちの手綱。 ~2021年フェブラリーステークス 回顧

2021年のGⅠ戦線の劈頭を飾るフェブラリーステークス

 

灰色の冬空の下、府中に今年最初のGⅠのファンファーレが鳴り響く。

 

昨年の覇者、モズアスコットは昨年末で現役を退き、長い間主役級を張ってきたゴールドドリームも同じく昨年いっぱいで引退した。

バトンを託された現役のトップ級、GⅠ4勝馬・クリソベリル、東京大賞典3連覇中のオメガパフューム、そしてそのオメガパフュームを昨年12月のチャンピオンズカップで破っていたチュウワィザードの3頭は、いずれもがそれぞれの理由でこのフェブラリーステークスを回避した。

 

それにより混戦模様となった本レース。

1番人気に推されたのはクリストフ・ルメール騎手のカフェファラオ。

それに続くは田辺裕信騎手のアルクトス、そして3番人気に気鋭の松若風馬騎手のサンライズノヴァが続く。

 

カフェファラオはアメリカの三冠馬American Pharoahを父に持ち、デビューから圧勝を重ね、その才覚は誰もが認めるところ。

しかし、ジャパンダートダービーチャンピオンズカップで着外に敗れるなど、大一番でのタイトルはまだない。

昨年のチャンピオンズカップでは外を回す厳しい競馬で6着に健闘しており、巻き返しが期待された。

 

ゲートが開くと、ルメール騎手は押して行って先行集団に並走し、頃合いを図って引いて、先行集団後ろの絶好の位置を確保した。

各陣営、各騎手、各馬のさまざまな思惑が交差するGⅠで、惚れ惚れするようなスタートから序盤のポジション取り。

 

結果的には、ここで勝負あり、だった。

 

流れるように4角で外に持ち出し、直線は早めに抜け出して、2着のエアスピネル以下の追撃を封じた。

 

無論、カフェファラオの高い能力があってこその勝利だが、その能力が発揮できれば勝ち負けになるレースをさせるのは、当代随一のルメール騎手なればこそのように思う。

この競馬で負けても、それは何か別の要因で能力を発揮できなかったのだろう、と思わせるような手綱さばきだった。

 

4年連続、年間最多勝に加えて、昨年は自身の持つ年間勝利記録に並ぶGⅠ8勝。

まさに「無双」の字のごとし、2021年もルメール騎手の年なのだろうかと思わされる、GⅠ戦線の幕開けになった。

 

まるで「お手本」のようなレースぶりで勝ったカフェファラオ。

冒頭に挙げた3頭との勝負付けは、まだ終わってはいない。再戦を、楽しみに待ちたい。

 

2着に敗れたエアスピネル鮫島克駿騎手。

いつも通り中団で脚を溜めての競馬だが、最後は迷わずロスのないインを突いて勝ち馬まで3/4馬身差まで迫った。

9番人気とプレッシャーの少ない立場はあったにせよ、直線半ばであわやの脚を見せてくれた。

 

しかし、それでも届かないのが、GⅠという舞台なのかもしれない。

思えば2歳、そしてクラシック戦線から、息の長い活躍を見せてくれるエアスピネル

明け8歳と、残り少ない時間の中で、一つ大きなタイトルは獲れるだろうか。

 

3着にはワンダーリーデル、鞍上の横山典弘騎手の手綱も、見事だった。

道中はカフェファラオとエアスピネルの間のポジションを抑えたが、そこに至るまでの攻防は見ごたえがあった。

明確に意思を持ってポジションを取りに行くルメール騎手、相手成りにじっとしながら、レースの中の「急所」のようなポジションに自然に収まる横山騎手。

4コーナーから直線も、外に出したカフェファラオに対し、わずかなスペースから内を突いて抜けてくる見事なコース取り。

 

天才の仕事、ここにあり。

そんな言葉が浮かぶような騎乗だった。

 

 

ウイニング・ラン、無観客のスタンドに向かって、右手を挙げるルメール騎手。

振り返れば、去年のフェブラリーステークスは、まだ有観客で実施されていた。

 

あれから、1年。

また無観客に戻ってはいるものの、競馬が、熱戦が続いていくことに感謝したくなる。

 

それでも、欲深いと思いながらも。

一日でも早く、その熱戦を現地で観戦したいと思ってしまう。

 

名手の技が遺憾なく発揮された砂の熱戦に、そんなことをあらためて感じる、2021年のフェブラリーステークスだった。

 

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