大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

いつか通った道。 ~2020年 ホープフルステークス 回顧

ホープフルステークスがラジオNIKKEI杯2歳ステークスから名称変更となり、中山競馬場に施行場所が変更となったのが2014年。
それ以来、施行時期というのが、いつもある種の議論の的となってきた。

「有馬記念の後か、先か問題」というものである。

「1年の締めは、やはり有馬記念」という派と、「有馬記念で負けても、ラストチャンスがある」という派と。
おそらく前者が多数派で、私自身もそうだったのだが、最近は来年への希望あふれる2歳の走りで、1年を締めるのもいいかもしれないと思うこともある。

今年は、ホープフルが先、有馬記念が後。
来年は、有馬記念が先、ホープフルが後のようだ。

いずれにせよ、その年、その年のの決められたカレンダーで楽しむだけだ。
それは、季節を愛でることと似ているのかもしれない。

まあ、どうせ最後の最後は、東京大賞典なわけなのではあるが。

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そんな、ホープフルステークス。

昨年は、単勝2.0倍の1番人気に支持されたコントレイルが、前評判通りに圧勝。
その後、無敗三冠を達成する快進撃の端緒となった。

今年は15頭の若駒が出走してきた。

ハナを切ったのはラウンドオブリバティ。
外から主張したタイトルホルダーに行かせず、抑えきれないといった感じで先頭に立つ。

1コーナーで首を振っているようにも見え、三浦皇成騎手がなだめていた。
抑え気味に進んだペースはスローとなり、前半1000mを61秒9で刻む。

異変が起こったのは3コーナーから4コーナーに至る付近。
変わらず先頭のラウンドオブリバティが、挙動不審な動きを見せていたかと思った瞬間に、外に向かって逸走。
競争中止という異例の事態となってしまった。

 

そんな普通でない流れのレースの中、脚を伸ばしたのは1番人気のダノンザキッド。
好スタートを決め、番手集団の外目を確保して、直線抜け出す正攻法での完勝。
川田将雅騎手のエスコートが光った。

調教師の安田隆行師は、川田騎手デビュー時の師匠。
このコンビといえば、どうしても2010年のスプリンターズステークス、2011年の高松宮記念とGⅠで連続して降着となってしまったダッシャーゴーゴーが想起される。

川田騎手は、勝利ジョッキーインタビューで

先生に迷惑ばかりかけてきたので…

と潤む目を拭いながら、声を詰まらせていた。
喉元に刺さったような罪悪感も、この大きな勝利によって、師匠への恩返しに昇華されたのかもしれない。

これでダノンザキッドは3戦3勝。
新馬→東京スポーツ杯2歳ステークスと連勝からの戴冠は、昨年のコントレイルと同じ戦績である。

無敗三冠の名馬も、いつか通った道。
その偉大な足跡を追う、来年の春になるのだろうか。
いずれにせよ、今日と同じコースの皐月賞までは、最有力候補の一頭となるだろう。

 

2着にはクリストフ・ルメール騎手のオーソクレール。

こちらも勝ち馬と同じように好スタートからポジションを確保し、内を伸びたが勝ち馬に届かず。
4コーナーで逸走したランドオブリバティの影響を受けたようにも見えたが、どうだったのだろう。

枠の恩恵も受けながら精一杯の2着と見るか、不利があって不完全燃焼の2着と見るか。
次走を楽しみに待ちたい。

 

3着には武豊騎手のヨーホーレイク。

スタートから少し引き気味の位置に収め、脚を溜める競馬。
末脚は確かで、外を伸びてはきたものの、残念ながら勝ち馬とは差があった。

その差は、あくまで現時点でのもの。
年を越して、どこまでその差を詰められるか。

その成長とまだ見ぬ新星たちとのせめぎあい。
これから春まで、クラシック戦線の愉しみは尽きない。

 

そして、ラウンドオブリバティ。
2番人気と人気を集め、三浦皇成騎手のGⅠ初制覇の期待がかかっていたが、非常に残念な結果となった。
あまり見ないケースで、外側からは詳しいことは分からないが、能力があることは疑いのない馬であるだけに、残念としかいいようがない。

三浦騎手も、負傷により日曜日は乗り替わりとなってしまった。
仕切り直して、また活躍する勇姿をGⅠで見たいと思う。

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来年の春に向けて、輝く光を見たホープフルステークス。
ダノンザキッドは、前年のコントレイルに続くのか、それとも父・ジャスタウェイの後をなぞるのか。楽しみは尽きない。

さて、明日は今年最後の大一番、有馬記念。
さまざまな想いはあれど、まずは全人馬、無事に完走することを願っている。 

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