たとえば、どこかのある土地を訪れる。
もしかしたら、それは、ずっと訪れたかった場所かもしれない。
たとえば、だれかある人と会う。
もしかしたら、それは、とても憧れていた人かもしれない。
たとえば、ある何がしかの体験をする。
もしかしたら、それは、ずっと夢見ていた成功だったかもしれない。
もし、仮に。そうだとしても。
その何がしかが、その人を変えることは、無い。
どこへ行っても、誰と会っても、何をしても。
立ち上ってくるのは、「わたし」でしかない。
それは不確かで、あやふやで、霧のように消えそうに見えるかもしれないけれど。
それでも。
何をしていても、浮かび上がってくるんだ。
いつも、なにをしていても。
東の空、ぼんやりとした色。