大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

ひとつとして、同じ日はなく。

見上げれば、赤の点描。
春に一面の淡いピンク色で楽しませてくれた桜の木も、いつしかその葉を落として。

新しく芽吹いた命が燃え、咲き、葉を繁らせ、そして枯れてゆく。
飽くことなく、繰り返されるこのリズムには、畏敬の念すら覚える。

ただ一日として、同じ日は無く。

いのちはめぐり、季節は去ってゆく。

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かつて。

毎日は、同じように見えた。
無機質な一本道が、延々と、ずっと続いていくようで。

その上を、機械仕掛けの人形のように歩いている感覚が、どこかにあった。
それは、等間隔に並んだ、ぼんやりと光る灯篭の下で、かたかたと同じリズムで音を刻んでいるようで。

いつの間にか、冬になっていて、春が来て。
いつの季節も、モノクロ色に覆われていたような気もする。

寒さ、暑さにいい加減に我慢できなくなって、衣替えをしていた。

ワーカホリックに、働いていたころの話だ。

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感情を取り戻すとともに、世界は色を取り戻す。
見れば、赤の果実。

秋が過ぎ、冬がやってきて。
その先に、春があって。

いま見ているのも、実は同じようなものかもしれない。

それは、螺旋階段をめぐるように。

いろんな場所をめぐりながらも、行き先は一つで変わらない。

時候は「金盞香、きんせんかさく」。

冬にも、花は咲く。

足元を見れば、両手を広げた黄色の盃。

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そういえば。
息子の飼っているカブトムシも、2匹のうち1匹がとうとう力尽きた。

夏からずいぶんと長く生きてくれた。

また、公園の木の下に、埋葬しに行かなくては。

近くに綺麗な色の花が咲いている場所を、息子と探そうと思う。