B'zの名曲、「ALONE」に寄せて。
歳を重ねるごとに、染みわたるいい曲である。
リリースは1991年。
思春期真っただ中のころ、よく聴いた。
あの当時、「どの歌手、バンドが好きか」を他人(特に異性)に表現することは、一つの自己表現だったように思う。
それは、
ああ、いいよね!私も好き!と共感を集めたかったり、
渋いねぇ!と言われてみたかったり、
洋楽なんて聴いてるの!などと見られたかったり、
あるいはマイナーなアーティストを挙げることで、「みんなが知らない、ぼくだけが知っている世界」があることをアピールしたり。
いまの思春期の人たちは、どうなのだろう。
翻って考えるに、私にとってB'zというアーティストは、「好きだ」と表現するのに、どこか抵抗があったように思う。
思春期特有の、外見に対する劣等コンプレックスを抱えていた私にとって、彼らが「カッコよすぎた」からだ。
「お前には全然似合わない」と言われるのが怖かった。
苦い思い出である。
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それはともかく、「ALONE」、名曲である。
いきなりコーラスから入る、歌い出しの部分。
孤独感、というのは人が生きていくうえで大きな大きなテーマである。
それがゆえに、酒、恋愛、セックス、ギャンブル、ハードワークなどといった、依存できるものにすがることもあれば、
それがあるがゆえに、他人とつながりを求めることもできる。
どんな感情も、表裏一体であるように、
寂しさがあればこそ、人は誰かとつながれる。
凍えるような孤独感、寂しさは、ほのかに温かい源泉のような愛情を、いつかどこかで与えらえれてきたことの裏返し。
それは赤ちゃんだった頃かもしれないし、
物心ついたころだったかもしれない。
それは母親から与えられたのかもしれないし、
祖父母から与えられたのかもしれないし、
学校の先生や近所の人、あるいは飼っていた犬だったかもしれない。
もしかしたら、生まれる前かもしれないし、
空や、太陽や、風や、そんなものからかもしれない。
けれど、寂しさを感じるということは、それを証明するギフトだ。
冬の寒さが堪えるのは、春の暖かさを知っているからこそ。
「ALONE」の歌詞は、寂しさと愛への賛歌のように感じる。
サビの部分も、またいいのだ。
カラオケで、後半のサビの部分を英語で歌って重ねると、とてもトリップできる。
私の、大好きな曲だ。