大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

大瀬良大地のキラキラカードと、バランスを崩すことについて。

多くの男の子が通る道なのだろうか、息子もまた「プロ野球チップス」の野球選手のカードを集め始めた。

 

カルビーさんが出している、ポテトチップスに野球選手のカードが付いているアレである。

 

娘は一向に興味を示さないあたり、やはり女性よりも男性の方が、何かを「集める」という傾向が強いのだろうか。

 

私自身、ストレングスファインダーの資質の上から3つ目に「収集心」があるものだから、息子と一緒になって楽しんでいる。

 

私も小さいころビックリマンシールから、ゲームのカードから、キン肉マンの消しゴムから、漫画から、散々いろんなものを集めたものだ。

 

私のころは50円くらいでカードが1枚付いていたような気がするが、いまは90円くらいでカードが2枚付いてくる。

 

スター選手のカードは、「キラキラ」な加工がしてあり、とても美しい。

 

その「キラキラ」を楽しみに、息子と収集に精を出している。

 

 

ある日、息子が「キラキラ」カードを引き当てた。

 

広島カープのエース、大瀬良大地選手のカードだ。

 

残念ながら先日、コンディション不良で登録を抹消されたが、押しも押されぬカープのエースである。

 

久しぶりに出た「キラキラ」のカードに喜ぶ息子。

 

そのカードを見た私は、ふと先日クワガタ捕りでお世話になった「クワガタ先生」(息子はそう呼んでいる)のことが頭をよぎった。

 

クワガタ先生もまた野球を嗜み、そして生粋のカープファンである。

 

3年前にカープが久々のリーグ優勝をした際には、本当に幸せそうだった。

 

クワガタ先生、大瀬良好きだったよなぁ…きっと、このカードをあげたら、とても喜ぶだろうなぁ…

 

そう思った私は、息子と交渉をする。

 

「なあなあ、そういえばクワガタ先生、カープファンだって。この前もお世話になったし、大瀬良の大ファンだから、あげてもいい?」

 

当然のように不満顔の息子。

 

「えー、そうなの…?」

 

「あぁ、きっと喜ぶと思う。代わりに、またチップス買うからさ?」

 

「んー、それならいいけど…でも、キラキラが出なかったら、どうする?」

 

「あぁ、出ないかもしれないな。それは買ってみないと分からない。だから、イヤならやめておこうか」

 

「んー、まあ、いいよ、べつに」

 

不思議と息子たちの世代というのは、私たちの世代に比べて、「所有」というものに対する執着が薄いような気がする。

 

その執着の薄さに救われたのだろうか。

 

 

こうして息子から大瀬良大地の「キラキラ」カードを預かった私だったが、どこかモヤモヤとした違和感が残った。

 

それが何なのか分からず、どうもそのクワガタ先生にそのことを切り出せずにいた。

 

生粋のカープファンのクワガタ先生は、もちろん喜んでくれるには違いない。

 

だけれども…

 

果たして、私は何日かその「キラキラ」の大瀬良大地のカードを、手帳に挟んだままにしていた。

 

そんな日が続いた、ある朝。

 

ふと。

 

やめておこう、と思った。

 

 

もうそのカードのことなど頭から抜けている息子に、私は向き合って話をした。

 

「このカード、ありがとう。でも、返すよ」

 

「ふーん、そうなの?」

 

「ああ。これは、きみが引き当てたカードなんだから、きみのカードだ」

 

きょとん、とする息子。

 

「当たり前だけど、それをどう扱うか決めるのは、おとうが決めることじゃなかった。だから、おとうが間違ってた。ごめんなさい」

 

息子は気にも留めず、ふーん、と返しただった。

 

そもそも、そんなカードがあったことすら、頭から抜けていたのかもしれない。

 

「もし、もう一枚同じカードが出たら、そのときはクワガタ先生にあげてもいいかな?」

 

「うん、いいよ!」

 

そう答えると、もう息子はYoutubeに夢中になっていた。

 

この数日間、何をしていたのだろうかと、自分自身に呆れながら、私はぼんやりしていた。

 

 

いつも、私はバランスを考える。

 

何がどうすれば、全体的な幸福度が高くなるのかを考える。

 

誰かがマイナス30で、誰かがプラス50ならば、全体の総和におけるプラスの量が増えるからいいのだ、というように。

 

時に、そのマイナスが自分であったり、身近な人であったりしても、その全体の総和としてのプラスを、厭わなかったように思う。

 

 

もちろん、そのおかげで全体のプラスが増えたことも、多々あったのかもしれない。

 

けれどそれは、心の傷や寂しさからくる犠牲的な行為であったかもしれない。

 

全体の、バランス。

 

最大多数の、最大幸福。

 

それを考えるものまた、長所であり才能の一つなのだろうけれども。

 

時に、それを崩すのも、必要なのかもしれない。

 

少なくとも、犠牲的な、補償的な行為でそれをするのは、結果的にマイナスが大きくなるのかもしれない。

 

あまり、全体を考えず。

 

時に、バランスを崩すように。

 

それでも、いいのかもしれない。

 

そんなことを考えながら、私は何かと用事を見つけて、息子とスーパーに「プロ野球チップス」を買いに行くのだろう。

 

大瀬良大地投手の「キラキラ」が、また出ることをほのかに祈りながら。

 

 

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その大瀬良大地のキラキラカード。美しい。

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