大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

桃始笑、ももはじめてさく。

二十四節気、七十二侯を追っていくと、季節というものはほんとうに立ち止まらないものだと痛感する。

ほんの少し前に啓蟄に入ったような気がするが、七十二侯ではその次候の時節だ。

桃始笑。
ももはじめてさく。

桃のつぼみが開き、花が咲き始めるころ。

3月といえば、桃の節句が思い浮かぶが、その花が咲き始めるのが、いま時分なのだそうだ。

そして旧暦のひな祭りにあたる4月上旬にかけて、満開を迎える。

何より美しいのは、「笑う」という表現だ。

昔は花が咲くことを、「笑う」という言葉で表現したことからきているが、その表現の美しさよ。

桃の花が咲く。
桃の花が、笑う。

ゆっくりと蕾を開かせる春の花に、微笑みを見る美意識。

「山笑う」とは、芽吹き始めた山を形容する春の季語でもある。

まだ寒風吹きすさぶ中、先駆けて咲く梅。
柔らかな日差しに笑う桃。
そして春の名残りを綺麗に散らす桜。

古来より、私たちはそれらの花たちを愛で、その微笑みに癒されてきた。

桃始笑。

何とも美しいこの言葉で、春を愛でよう。 

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伊豆シャボテン公園で見た、桃の節句。