大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

覚悟は、言葉に現る。

「ベストを尽くします」

そう彼女は繰り返した。

心に秘めた目標も、その数字もあるにはあるだろうが、その言葉を繰り返した。

控えめとも取れる意気込みが、逆にその覚悟を際立たせる。

ほんとうに強い人ほど、強い言葉を使わないのかもしれない。

あくまで、自然。

柳のように揺れながら、竹のようなしなやかさを持ちながら。

強さとは、砕けない硬さではなく、折れないしなやかさ。

「ベストを尽くします」 

その言葉に、そんなことを想う。

いったい、ベストを尽くすとは、どういうことだろう。

それは、一つの終着点として。

やることは、やってきた。

そして当日も、やることを尽くす。

その、宣言。

その宣言をするとき、人はいまここに生きる。

思うようにできなかった過去の後悔や、
あるいは
未来と結果をコントロールしようとする欲も、
そこにはない。

あるのは、「いま」のベストを尽くす、という覚悟のみ。

覚悟とは、
ままならなかった過去を受け入れ、望まない結果が訪れる未来に身を委ねる、
そんな強さなのかもしれない。

英語の”will”という語は、未来と意志と二つの意味を宿す。

それは、同じコインの裏表なのだろう。

そのコインの名を、
覚悟
という。

覚悟は、言葉に現る。 

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花はいつもベストを尽くしているような。