大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

揺蕩えども、沈まず。

おおよそパリほど、長い歴史の中において政治権力の栄枯盛衰に振り回された都市も少ない。

 

古くはローマ帝国の時代から、ユーグ・カペーのカペー朝による中世の統治、それに続くヴァロア朝と海を隔てたエドワード朝による長きにわたる争い、近世のブルボン朝の治世。

 

市民革命を経てナポレオン・ボナパルトの台頭、ロシアの侵略の果てにブルボン王朝の復古、政府と革命側の綱引きの中での発展。

 

20世紀の世界大戦におけるナチスドイツの侵攻と占領、そして現代においては痛ましいテロ事件の発生。

 

ファッションとグルメの最先端と称される花の都は、その歴史の中で時に栄え、そしてときに廃れかけ、また他国からの干渉による屈辱的な歴史を持つ。

 

されど、今日もパリはパリのままでいる。

 

 

久方ぶりにナゴヤ球場を訪れた日。

 

どうも知らぬ間に心が浮足立っていたのだろうか、JRの改札を出る際に交通系のICカードを入れた定期入れが無いことに気づく。

 

カバンの中、ポケットの中などをゴソゴソと調べたものの、見つからない。

 

息子を「たかいたかい」で持ち上げたりしているうちに、ポケットからするりと落ちたのかもしれない。

 

仕方なく窓口で料金を支払い、遺失物の届け出をする。

 

ターミナル駅も通ったので、念のため私鉄と地下鉄にも同様に届出をした。

 

あまり書くと怒られそうだが、名刺や社員証も入っていたため、何とか見つかって欲しいと願っていたものの、今日までなしのつぶてだ。

 

定期入れ自体も新しいものだったので、割とショックなのだが、致し方ない。

 

起こった事はもうもとには戻らないから、淡々とするのみだ。

 

ICカードの再発行をして、気の乗らない顛末書を書き、新しい定期入れを探すことにした。

 

= 

 

顛末書に「しっかり」「管理して」という文言を並べながら、私はふと考える。

 

とかく人は、自分の身の回りを「ちゃんと」したがる。

 

されど、自分の身の回りでコントロールできるものが、どれだけあるのだろうか?

 

よくよく考えると、コントロールできるものなど、それほど多くないような気もする。

 

生まれる国も時代も容姿も性別も選べないし、自分で選んだと思う選択肢にしたって、よくよく考えてみれば限られた時間と情報の中で、そうしただけの話かもしれない。

 

心の世界を目を向けて見れば、私たちが意識できることは氷山の一角にすぎず、95%以上は潜在意識と呼ばれる水面下の深いところの意識が大きく行動に影響を及ぼすと聞く。

 

どれだけ5%の顕在意識がどうこうしようとしても、私たちのあずかり知らぬところで、重要な決定は為されているのかもしれない。

 

こう書くとネガティブに聞こえるかもしれないが、ものごとはただ在るだけで、見る人の数の解釈が存在するだけで。

 

もしかしたらそれは、大きな福音かもしれない。

 

大きな何かに、導かれているのかもしれないのだから。

 

されば、いま起こっている目の前のことに、意味づけは不要。

 

ただ、受け入れ、委ね、流されるのみ。

 

 

流されたところで、結局は沈まないのだ。

 

長い歴史の中で翻弄されようとも、今日もパリはパリとして佇んでいるように。

 

導かれるままに。

 

そう、パリ市の紋章に刻まれた標語である、

「揺蕩えども、沈まず」

そのままに。

 

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…と、ここまで書いていたらスマホが鳴って、JR名古屋駅の遺失物センターの担当の方からだった。

 

届け出をしていたものと思わしき定期入れが、見つかったとのことだった。

 

何度も御礼を述べて、後日引き取りに伺うことにさせて頂いた。

 

世の中、ほんとうによくできている。

 

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