大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

ディープインパクトの死に想うこと。

ディープインパクトの訃報を聞いたのは、昼過ぎだった。

 

説明不要の名馬であり、オグリキャップ以来といえる社会現象を巻き起こした名馬の訃報。

 

史上2頭目の無敗の三冠馬、史上最多に並ぶGⅠ・7勝、当然ながら顕彰馬の栄誉に浴し、種牡馬としても偉大なる父を超えんばかりの大成功を収めた「平成の名馬」は、令和という時代の産声を聞いてから、鬼籍へと入った。

 

折しも、リーディングサイヤーの覇を競ったキングカメハメハ種牡馬引退の報を聞いたばかりで、まだ種牡馬としてその偉大な血を拡げることを信じてやまなかった。

 

されど、私の個人的なディープインパクトに対する想いは、薄い。

 

彼が活躍した2004年から2006年というのが、ちょうど私の人生の辛かった時期にぶち当たっており、ロクに生のレースを観ていないというのが、その要因のように思う。

 

両親との突然の別離、地元に戻ったのに一人暮らし、ハードワーク、ワーカホリックという沼にどっぷりと嵌っていた当時、とても競馬を楽しむ余裕はなかった。

 

そんな己のしんどい状況の中、全盛期の武豊騎手を背に、圧勝に次ぐ圧勝というディープの戦績(それでもハーツクライ有馬記念と海外遠征の凱旋門賞では苦杯を喫していたが)には、あまり共感はできなかったのも一つの理由だろう。

 

分かりやすく、私は自分の人生に拗ねていた。

 

 

そんなディープが、鬼籍へと入った。

 

そのニュースから、様々な人たちが「ありがとう、ディープ」、「突然のことで、悲しい」等々とメディアやSNSを通じてコメントを発するのを見て、どうにも私の心はざわついた。

 

分かりやすい、怒りを覚えた。

 

だいたい、こういうときにお涙頂戴のコメントを出す輩は大キライだ。

 

死を悼むくらいなら、最初から誠実に接しておけ。

 

生きている間にはそんなコメント一つも出していなかったのに、死んだ時だけ便乗してコメントを出すな。

 

死んでからそんなコメントを出すくらいなら、もっと生きている間に何かしてやれよ。

 

それができないんだったら、四の五の言わずに自分の中だけに収めとけ。

 

とまあ、ディープへの僻みをこじらせたような、どうしようもないネガティブな感情が自分の中に湧き上がるのを感じた。

 

少し深呼吸して落ち着いてから、なぜこんなにも心が揺れるのか、内省してみる。

 

なぜこんなにも心が揺れるのか。

 

それは、自分の中にある「それが出来なかった悲しみ」に触れるからなのかもしれない、と思った。

 

かつて両親を亡くしたときの、私のそれまでの言動に、強い後悔と絶望を感じていたから。

 

なぜ、もっと帰省して一緒の時間を過ごさなかったのか。

なぜ、父の単身赴任先に手紙の一つでも書かなかったのか。

なぜ、母のメールにもっと近況なりを返してあげなかったのか。

なぜ、下宿なんてしてしまったのか。

なぜ、独りになってしまった母にもっと寄り添えなかったのか。

 

そのときの私は、それまでの私自身を決して許すことができなかった。

 

だから、誰かの死について簡単に語る(ように見える)人が受け入れ難く、許せない。

 

ああ、まだ私はこの後悔と罪悪感にまみれた想いを握りしめているんだな、と気付いた。

 

ただ、それも必要だったからなのだと思う。

 

その後悔と罪悪感を、奥歯が擦り切れるほど強く握りしめいてたおかげで、私は「両親を突然、不幸な形で失った悲しみ」という途方もなく大きな衝撃に、正気を失わずに今まで生きて来れたのかもしれないから。

 

それでも、もう必要ないかな。

 

いままで、ありがとう。

 

もう、手放そうと思う。

 

ディープに向けられたコメントの数々は、彼と同時代に生きたことに対する感謝と愛に満ちたものばかりのはずだ。

 

そんな言葉を、私も素直に表現できるようになろう。

 

 

結局のところ、他人を許せないというのは、自分を許せないというだけのことなのだ。

 

他人が嫌ったり、許せなかったりするときは、誰にでもある。

 

その時に必要なのは、その相手ではなく、自分に向けることなのかもしれない。

 

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今年の5月の末、夏のような陽気の下で彼の血が爆ぜるのを観られたのは、僥倖だった。

 

謹んで、ご冥福をお祈りいたします。

 

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〇大嵜直人の書斎:2019/7/30

 

 1.某メディア様への次回寄稿記事

→「導火線」で執筆開始、寄稿完了目標:7/31

2.ものがたり

→ 処女作プロット作成中、起稿目標:8/1

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【大嵜直人の執筆記録】

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