大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

アルカンジェロ・コレッリ:合奏協奏曲op.6-8ト短調 「クリスマス協奏曲」に寄せて

アルカンジェロ・コレッリの合奏協奏曲 作品6第8番 ト短調

 

「クリスマス協奏曲」として親しまれる、この名曲に寄せて綴ってみたい。

 

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アルカンジェロ・コレッリは、ヴィヴァルディ、バッハ、ヘンデルの一世代前にイタリアで生まれ、トリオ・ソナタや合奏協奏曲などの器楽曲でバロック期の前半を彩った作曲家だった。

 

この合奏協奏曲op.6-8は6つの楽章からなり、その最終楽章にコレッリ自身が「キリスト降誕の夜のために作曲した」と書いたことから「クリスマス協奏曲」の名で親しまれる。

 

その第6楽章・ト長調「パストラール(ラルゴ)」の、牧歌的ながらも崇高さを併せ持つ旋律の美しさ。

 

私は学生時代にこの名曲を演奏する僥倖に恵まれたのだが、やはり弾いていて敬虔な心持になったことを覚えている。

 

 

と、ここまで書いておいて何なのだが、私がこの「クリスマス協奏曲」のなかで最も好きなのは、第3楽章だ。

 

第3楽章 変ホ長調 アダージョアレグロアダージョ

 

 ※上に挙げた動画でいくと、4:00あたりから。

 

第2楽章の早いテンポの短調が終わった静寂のあと、一転して伸びやかに歌い出す2本のヴァイオリン。

 

変ホ長調の、どこまでも肌触りのやさしい絹のように優雅でいて、それでいて強く芯のある旋律の掛け合い。

 

一つのフレーズが終わると、通奏低音がそれに対して受容を示すように「そうだね」と語りかける。

 

入れ替わってチェロのソロが、明るい長調のなかにも少しだけ憂いを含んだフレーズを歌い始める。

 

そのフレーズの始まりの16分休符の、美しさよ。

 

私が最も好きなチェロの音域が、このフレーズのあたりの音域だ。

 

人の肉声に、近いからなのだろうか。

 

 

やがてチェロが歌い終わると、テンポがアレグロに変わる。

 

第1ヴァイオリンの分散和音に第2ヴァイオリンの飛び跳ねるようなフレーズが絡んでいく。

 

チェロのソロとヴィオラ通奏低音は、確信を持って4つの同じ音を刻んでいく。

 

この同一音を刻む伴奏というのが、私は大好きだった。

 

同一音でありながら、その一音一音に物語があり、また上で歌う旋律によって新たな命を吹き込まれるようだ。

 

この愉悦。

 

だから低音楽器はやめられない。

 

前半部の憂いを持った曲調から、力と使命を預かったような、このアレグロの中間部。

 

焦るんじゃ、ないよ。

悠々と、急げ。

 

そんな台詞が聴こえてきそうな中間部は、やがて三つの音に集約される。

 

終局を迎えた行進は、確信を持って再びアダージョに戻ってくる。

 

前半部と同じ旋律なのに、駆け足の中間部を経たあとのそれは、どこか違う響きに聴こえる。

 

一つ一つの音の輝きが、増したように感じる。

 

動きたくても、動けなかったり。

走ってみても、止まってしまったり。

 

それでも、それだからこそ、感じられる「いま」もあるよね。

 

ね、だって、いまのあなたは、とってもすばらしいんだから。

 

そんな会話が聴こえてくるような、美しき旋律。 

 

 

私にはこの第3楽章が、第6楽章「パストラール(ラルゴ)」よりも、神の恩寵をたたえた聖歌のように聴こえる。

 

牧歌的でどこまでも透き通った空気感のト長調の第6楽章。

 

少しの憂いとわずかな惑いがありながらも、前を見つめる瞳を観ているような変ホ長調の第3楽章。

 

私は、第3楽章の空気感が好きだ。

 

演奏しながら、この楽章が終わらないでほしいと願っていたことを思い出す。

 

「美形とされる顔」のように、年月を経れば変わってしまう美しさもある。

 

けれど、古今東西変わらない美しさというものも、存在するのではないか。

 

コレッリの「クリスマス協奏曲」は、まさにその示現のように感じるのだ。

 

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〇大嵜直人の書斎:2019/7/25

 1.某メディア様への次回寄稿記事

→仮タイトル「導火線」で構想中、寄稿完了目標:7/28

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→ 処女作プロット作成中、起稿目標:7/29

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