大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

ふっくら牡蠣を炊く技法に、一期一会を想った日。

昨日に引き続き料理のエントリー。

 

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立派な牡蠣を頂いたので、これをどう料理しようか悩む。

ちなみに殻付きのセルガキも一緒に頂いたのだが、あっという間に殻だけになってしまい、写真を撮るのを忘れてしまった。

 

カキフライもいいし、牡蠣飯もたまらないし・・・

 

いろいろと調べたりして思案したのだが、今回は少し長く楽しめる「時雨煮」にすることにした。

 

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ざる付きのボウルに牡蠣を入れ、塩を振る。

牡蠣200gに対して、塩大さじ1の割合。

こう見ると、結構塩が多めに見える。

 

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ざるを揺すってぬめりを取る。

身を崩さないように、やさしく、やさーしく・・・

 

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ある程度揺すったら、流水で塩を落とす。

流水の下で、揺すりながらぬめりと汚れを落としていく。

 

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牡蠣の他の材料は、生姜のみ。

皮を剥いてみじん切りに。

 

料理をしていると、生姜は臭み消し、消毒、殺菌、食欲増進、身体にいい諸々の効果という5ツールプレイヤーだと思う。

古くはケン・グリフィーJr.から、いまならマイク・トラウトか。

 

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鍋に醤油、酒、みりん、砂糖を入れて煮立たせたのち、生姜と牡蠣を入れて中火にして1~2分。

 

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牡蠣が少しぷっくりとしてきたら、玉じゃくしを使って牡蠣を引き上げる。

ここでも身を崩さないように、やさしく、やさしく。

 

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サルベージした牡蠣は、ザル付きのボウルに入れて出番待ち。

ボウルに滴った煮汁は、もう一度鍋へ。

 

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煮汁だけで煮立たせて、だいたい半分くらいの量になるまで煮詰める。

濃厚ないい香りがあたりに漂う。

 

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煮汁が半分くらいに煮詰まったら、再び牡蠣を入れて少し煮る。

くれぐれも、固く炊き過ぎないように火加減に注意。

 

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また牡蠣を引き上げ、煮汁を煮詰める。

これを3回ほど繰り返す。

 

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3回目。

キレイな絵面ではないが、いい具合に煮詰まってきた。

 

この牡蠣をすくって煮汁を煮詰めるレシピを知ったときは、衝撃だった。

だから、美味しい時雨には柔らかいのに牡蠣に味がしっかりついているんだ、と。

 

昔読んだ、辻調(辻調理専門学校)の創始者辻静雄氏の半生を描いた「美食礼賛」(海老沢泰久さん著)の中の一節を思い出した。

 

かなり前に読んだので、うろ覚えではあるが、若き日の辻氏が、和食の勉強のため大阪・高麗橋吉兆に通い詰めていたときのこと。

お吸い物のハマグリが、ことのほか柔らかくて美味しい。

 

しかし実際にその味を再現しようとしてみると、これが実に難しい。

 

ハマグリに火を通す時間が短いと、

ハマグリは柔らかいが、出汁に旨味が足りない。

 

火を通す時間を多くすると、

濃厚な出汁になるが、ハマグリが固くなってしまう。

 

どう料理しても、吉兆のあのお吸い物の味にならない。

 

ついに辻氏は吉兆にその魔法の種明かしを聞く。

その魔法は、「出汁を取るハマグリ」と「食べるハマグリ」を分ける、というものだったという。

 

つまり、ハマグリから旨味を出し切った出汁に、柔らかく煮た別のハマグリを添えて出していたのだ。

 

マジックと同じで、タネが分かってしまえば何のことはない。

 

けれどそこまで一つのお皿にこだわり、召し上がるお客様との一期一会に懸けるという、吉兆の受け継いできた和食の奥深さが垣間見えるこの場面が、私は好きだ。

 

一杯のお茶に至るまで、このお客様にお会いする最後であるかのように、一期一会、全身全霊を懸けなさい、というのが、吉兆の創業者の湯木貞一氏の想いだったのではないかと、こういう話を聞くと思う。

 

結局のところ、料理でも何でも、全ては「いまここ」なのだ。

 

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さて、最後は強火で汁気を飛ばすように、煮汁を牡蠣にからめて完成。

 

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牡蠣の時雨煮、できあがり。

いい色合いで美味しそうにできた。

 

ご飯のおともに少しずつ冬の滋味を頂くとしよう。

 

 

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