大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

日本に生まれた幸せを噛み締める味 ~東京・「東新宿 炭火割烹 倉乃介 発酵と熟成の幸」訪問記

半年ぶりに東京は東新宿の「倉乃介」さんの暖簾をくぐることができたので、その訪問記を。

以前のエントリーはこちら。

感想戦を黙らせる味 ~東京・「東新宿 炭火割烹 倉乃介 発酵と熟成の幸」 訪問記 - 大嵜 直人のブログ

この日は午前中仕事をしたあと、名古屋から新幹線に飛び乗り、品川~渋谷~東新宿まで移動する行程だった。

久しぶりに訪れる渋谷は相変わらず賑やかで脂っこかったが、JRから地下鉄への乗り換え口が改修されてずいぶんと変わっていた。

下宿していた時代に東横線を使っていたが、東横線の渋谷駅はいまでは地下になったと聞いた。

この日はその地下の東横線渋谷駅を通ることはなかったが、ずいぶんと変わるものだ。

それにしても、東京近辺の地下鉄・JR・私鉄の相互乗り入れは半端ではない。

どこで乗り換えても、行き先に見慣れない地名が表示され、合っているのか不安になる。

確実にスマホの乗り換え案内がなければ、迷う自信がある。

そんなことを思いながら、大江戸線の東新宿に着く。

大江戸線のホームの深さといったら、名古屋の地下鉄の優に3倍くらいはあるのではないかといつも思う。

f:id:kappou_oosaki:20181128215207j:plain

そんなことを思いながら歩いていくと、方向音痴のケがある私にしてはめずらしく、半年前に通った道を覚えていたようで、すんなりとこの道へたどり着いた。

f:id:kappou_oosaki:20181128215154j:plain

行燈のやわらかな光。

これだけでもうすでに酒が飲めそうだ。

今日も飲まないけど。

暖簾をくぐると、大将が笑顔で迎えて頂いた。

店内を見ると、まだ旧友たちは来ていないようだ。

一番遠い人間が、一番早く来る。

得てしてそんなものだ。

f:id:kappou_oosaki:20181128215309j:plain

旧友たちを待つ間、メニューを見てニタニタしながら時間を過ごす。

遠足は行くまでが一番楽しいように、この時間が最も楽しいのかもしれない。

f:id:kappou_oosaki:20181128215258j:plain

一人来たので、とりあえず乾杯。

旧友は生ビール、私はフルーツビネガーをお願いした。

この日は柚子のビネガーのようで、これが抜群に美味しかった。

甘味と酸味が絶妙のバランスで、食欲をかきたててくれた。

f:id:kappou_oosaki:20181128215253j:plain

一皿目、鱈と白子の湯豆腐仕立て。

料理の前に、箸置きが素敵すぎる。

透き通るようなスープを一口すすり、幸せを噛み締める。

魚の旨味、そしてほんのわずかに香る出汁。

鱈の身を口に含み、またスープをすする。

白子の濃厚な味にたまらず眉間に皺を寄せ、その余韻をまたスープで流す。

冬が、やってくる。

そんなことしみじみ感じさせてくれる味。

f:id:kappou_oosaki:20181128215452j:plain

実家から直送されてきた野菜の盛り合わせ。

南瓜、薩摩芋、紫芋・・・どれも火の通し方が素敵すぎる。

シンプルな岩塩の味付けに、にんにくチップスがアクセント。

頂いていると、「滋味」という言葉が脳裏に浮かぶ。

f:id:kappou_oosaki:20181128215435j:plain

今日のお楽しみ、熟成されたお造りたち。

さわら、しまあじ、そしてひらめのあん肝巻き。

これを岩塩、わさび、そして特製の柚子胡椒で。

どれを食べても眉間に皺を寄せて、美味い、しか言わなボギャブラリーの少ない男たちになってしまった。

それにしても、ひらめのあん肝巻きと柚子胡椒は絶品だった。

f:id:kappou_oosaki:20181128215424j:plain

生ししゃもの天ぷら。

胸ビレが立っているところが、セクシーすぎる。

天ぷらは1秒でも早く食べるに限るので、すぐに頂く。

ほろほろと崩れる身の柔らかさに感動する。

f:id:kappou_oosaki:20181128215610j:plain

銀だらの西京焼きと海宝漬。

子どものころ「さいきょうやき」と聞いて、「なにが最強なの?」と思っていた(埼京線と同じだ)が、ようやくそれが分かった気がした。

西京焼き、最強。

銀だらの脂と、白味噌のコクと・・・

f:id:kappou_oosaki:20181128215557j:plain

そして何より、この海宝漬。

これは反則だ。

いまここで断酒を破ろうかとの誘惑が頭をよぎったほど、美味しかった。

f:id:kappou_oosaki:20181128215538j:plain

ラム肉の朴葉味噌。

朴葉味噌は食べたことがあったが、ラム肉で食べるのは初めてだった。

まったく臭みがなく、味噌と朴葉の香りにこの期に及んで食欲を刺激される。

f:id:kappou_oosaki:20181128215725j:plain

〆は焼き鯛おにぎり、お好みで出汁をかけて。

f:id:kappou_oosaki:20181128215714j:plain

おひとつどうぞ。

あいや、これはきょうしゅくです。

のみすぎてしまいますな・・・

そんな遊びをしながら、あっという間に平らげてしまった。

焼きおにぎり・・・

鯛茶漬け・・・

あぁ、日本に生まれてよかった。

そんな幸せを噛み締める、「倉乃介」さん再訪だった。

惜しむらくは、旧友はこのお店にすぐに通える距離に住んでいるという事実に、メンヘラのように嫉妬したことぐらいだろうか。

東京都民がクソうらやましい。

そんなことを思いながら更けていく、楽しい夜だった。

ごちそうさまでした。

f:id:kappou_oosaki:20181128225501j:plain