大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

ちゃんと、絶望しよう。

ちゃんと、絶望しよう。

彼我の差を認めて、今の自分の至らなさに、ちゃんと絶望しよう。

そこを目を伏せて見なかったことにしたり、
見えてるものを無理矢理抑え込んだり、
ポジティブな思考でいないといけないとか、

思考で判断するのはやめよう。

ちゃんと、絶望しよう。

「良い」というものの裏には、「悪い」というものがいる。

「悪い」ものの裏には、「良い」ものがある。

正しい・間違い、善い・悪い
清い・汚れ、天・地
男・女、晴れ・雨
ハレ・ケ、美しい・醜い
絶望・希望・・・

それらはすべて同じものごとの見方に過ぎない。

「絶望」と書かれた面の裏には、「希望」と書かれている。

生々流転、ゆく川の流れはたえずして、祇園精舎の鐘の声と諸行無常の理の、

この世において、片方だけを見続けることはできない。

ネガティブに見えるものを、

嫌わなくていい。手放さなくていい。解消しなくていい。

一方を受け入れるということは、もう片方を受け入れる、ということだ。

美しく見えるもののみならず、悲しみの際にさえも光を当てること。

それを人は芸術と呼ぶ。

正しいもののみならず、邪なものさえも受け入れること。

それを人は愛と呼ぶ。

人の歩みは拡散していく螺旋階段のように。

何度も何度も同じ感情を行き来しているように見えながら、階段を登っていく。

嫌な側面が見えたとしても、登るのを止めないことだ。

「絶望」の壁の前では、ちゃんと絶望しよう。