あこがれの人って、いますでしょうか。
この人の才能、すごい。
こんなことできるなんて尊敬する。
あの人のように生きてみたい。
そんな憧れは深い分だけ、今の自分とのギャップであったり、至らなさを見つけては深い絶望を見せてくれます。
ただ人の才能とは、夜空を一瞬華やかに彩る花火ではなくて、ずっとそれを続けている熾火のようなものだと思うのです。そして、花火を打ち上げるのは花火師しかできないのですが、熾火は誰しもが起こせるものです。
一瞬のきらめきに目を奪われてしまいがちですが、それはその人の熾火のような「日常」の延長にあるのだと思います。
特段構えることなくそれを続けられるから「日常」。
それはやっぱり好きなことだからこそ、続けられるのでしょう。
「才能とは、継続する情熱である」とはフランスの作家モーパッサンの言の葉ですが、日常に落とし込んで何年も何十年も続けられることこそが才能なのでしょう。
続けよう。
晴れの日も、雨の日も。
穏やかな春の日も、息の凍る冬の日も。
口笛吹きながら帰る日も、絶望の酒に沈む日も。
仲間に囲まれた日も、孤独の味を噛みしめる日も。
書き続けよう。
その先にある景色よりも、
いまこの目の前の絶景を楽しみながら。