大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

追憶

瞬間と永遠について。

あれは小学生の高学年の頃だっただろうか。 母親と二人で山を登ったことがあった。 山頂と思わしき、見晴らしのいい場所で撮った写真が残っている。 その後、不惑も近くなって母の死と向き合う中で、どの山だったのか知りたくなり、それと思わしき山をいくつ…

願いも、望みも、目標も。なくてもいい。

誰しもが、自らの望みを叶えたいと願う。 だからこそ、願望実現や目標達成のハウツーなりが、いつの時代も求められる。 そう考えると、スピリチュアルな引き寄せであれ、ゴリゴリの外資系コンサルによるKPIなりの管理であれ、それほど大差がないように感じる…

名古屋駅、ラジオ、野球中継慕情。

都心部、月末、金曜日、夕方、雨。 渋滞する要素をすべて詰め込んだようで、遅々として車は進まなかった。 地下鉄で行くこともできたが、コロナ禍の下で車移動が慣れてしまったせいか、そのまま車で行ってしまおうと思った。 人間の習慣というのは、大きいも…

クワガタの発掘に、遠い昔の記憶を想うこと。

昨年の夏の終わりから、息子とクワガタの幼虫を飼っている。 クワガタの幼虫の飼育というのは難しいらしく、私も少年時代にそう聞いていた。 しかし、今はこのような「菌糸ボトル」が普及しホームセンターで売られており、これに幼虫を入れて、定期的に菌床…

名曲は、簡単に時空を飛び越えさせてくれる。

建物を出た瞬間、熱気と呼べるような空気にあてられた。 アスファルトからの照り返しが、その熱気をさらに強調するようだった。 夏の乾いた暑さは耐えられるのに、この梅雨の合間の晴れた日の蒸し暑さときたら。 右手で陽を遮りながら、急いで車に乗り込む。…

立夏雨情。

この時期の雨は、どこか優しい。 日に日に上昇する気温に身体が堪えることも多いが、その火照りを冷ましてくれるようだ。 雨に対する想いは、そのまま自分自身の状態でもある。 = あの頃、なぜ雨があんなにも気にならなかったのだろう。 天気予報を見る習慣…

子どもは、親がしたくてもできなかったことを、してくれる。

感染症予防のための活動自粛と、それにともなう休校が続いて久しい。 家で子どもと過ごす時間が増え、マリオやドラクエに遊んでもらったりしている。 休校期間も長くなり、小学校から渡された課題のドリルやプリントを教える時間も増えた。 ブーブー言いなが…

「昭和の日」の水面に、過ぎゆく平成の日々を思い出すこと。

昭和の日。 昭和生まれの私にとっては、「天皇誕生日」もしくは「みどりの日」の名称の方が、しっくりくるのだが。 調べてみると、2007年(平成19年)施行の改正祝日法で「昭和の日」と名を変えたそうだ。 すでに10年以上も経っていることに、驚きを…

いつか、どこかで。

白が、お辞儀をしていた。 カメラの日付を見ると、5日ほど前らしい。 紫の蕾が、生きものの手のようにも見えた。 ふと、同じ場所を今日通りかかったところ、白にその紫が加わっていた。 お辞儀をしていた背も、まっすぐに天を向いていた。 何も変わっていな…

自分が誰かにしてほしかったことを、誰かにしてあげると満たされる。

「愛されたい」という渇きは、「愛すること」で初めて潤い、満たされる。 結局のところ、満たされない思いというものは、外部の誰かから満たされることはない。 真実はおそらくその逆で。 満たされない思いをしている他の誰かに、それを与えることで、始めて…

いつもマリオに、寂しさを癒してもらっていた。

家の中での時間の楽しみを増やそうと考えていたら、数年前に頂いて未開封だったゲーム機を見つけた。 「なんだ、それは!」と、食いつく息子。 開封して初期設定をして、以前に遊んでいたソフト「New スーパーマリオブラザーズ」を差し込んでみる。 走る、ジ…

ナビのないくるま。

方向音痴のケがある私は、ナビのない車は乗らないようにしている。 乗り慣れた道ならまだしも、初めて通る道をナビなしの車で走るのは怖い。 最近は、ほとんどスマホの地図アプリで代用できるようになったので、その心配をすることはほとんどないのだが。 ナ…

3月11日。

3月11日。 水曜日。 予報通りに、よく晴れていた。 濡れたアスファルトは、夜半まで雨が降っていたことを教えてくれた。 けれど、よく、 晴れていた。 3月11日。 よく、晴れていた。 = 多くの人にとって、特別な意味を持つであろう、その日付。 当た…

3月10日。

3月10日。 火曜日。 昼前から雨、のはずだった。 予報は外れ、朝から降り出していた。 分厚い雲から泣き出すように降り出した雨は、どこか季節感がなかった。 どこか空気が重苦しく、鬱陶しかった。 雨の足音だけが、車内に響いていた。 そういえば、3月…

追憶のキリン。

幼いころの記憶を、鮮明に覚えている人がいる。 以前に聞いた話だと、神童として知られていたある人は、自分が産まれたときに浸かった産湯のタライの形を覚えているという。 そこまでの記憶はさておき、幼少期の記憶をよく覚えている人と、そうでない人は分…

世界に、何を与えるか。

学生時代の音楽仲間から、結婚したとの便りが届いた。 仮に、彼女をトモコと呼ぶことにする。 ウエディングケーキを新郎から食べさせもらっているトモコは、この上なく幸せそうな笑顔をしていた。 トモコは、当時ヴァイオリンを弾いていた。 とんでもなく、…

仕事始めの小寒の頃、父を想うこと。

今日は二十四節気の一つ、「小寒」。 「寒の入り」とも言われ、これからさらに寒さが厳しく感じられる頃。 寒中見舞いが送り交わされるのもこの頃で、これから節分までの三十日間を「寒の内」と呼ぶそうだ。 実際にその通りで、暖冬と思っていたが昨日あたり…

年の瀬に祖父の家を想うこと。

年末特有の押し迫った感じは、年々薄れていっているように感じる。 コンビニや商業施設が元旦や2日から開いているおかげで、山ほど食料を買い込む必要もないし、少し長い休み程度にしか感じない。 これが、東京から新幹線なり飛行機で帰省するとなると、ま…

2005年の自分からの手紙。

Webで注文していた2020年の手帳が届いた。 ページをペラペラとめくりながら、2019年ももう終わりかと思うと、感慨深い。 早いと思えば早いし、まだ1年も経っていないのかとも思える。 最近つとに、時の流れが歪んでいるように感じる。 = 手帳はも…

fireworks.

ひらひらした持ち手の赤色の部分を持つ感触が、久しぶりだった。 風が吹けばどこかへ飛んでいきそうな、軽い感触。 逆側にある先端の、火を点ける部分のふくらみを見ると、いつも蜂のお腹のようだと思う。 ジジジ、と音がしてロウソクの火が赤い穂先に燃え移…

過ぎゆく夏を惜しむ。

久しぶりに通る街道は、お盆のせいか以前の記憶よりも空いていた。 どうもお盆という時期は、夏の「終わりの始まり」と重なるせいか、感傷的になってしまう。 目印となる建物もあるけれど、ここは通るたびに、少しずつ建物が変わっているように感じる。 され…

感情が眠る場所。

感じきれなかった感情は、心の奥底で感じられるのを待ちながら、眠っているという。 その場所は、ふだんは閉じられている心の深い場所なのだろうけれど、それは物理的な場所の場合もあるように思う。 忘れられたその感情は、静かにその場所でひっそりと、来…

誕生日は、与える日。

今日は、私の39回目の誕生日でした。 SNSやレターポット、手紙を通じて、たくさんのお祝いのメッセージを頂きました。 ありがとうございました。 = 昔から、私にとって誕生日というのは面はゆく、いくぶんかの恥ずかしさと、そして若干の拗ねたような…

蝉の声、故人の声。

亡くなった人のことを思い出すことがある。 それは故人との思い出の写真を眺めていたり、 在りし日に一緒に来た場所を訪れたり、 区切りの命日が巡ってきたり、 そんな分かりやすいシチュエーションではなく、ふと、何の脈絡もなしに。 そういったときほど、…

誰かにしてほしかったことは、誰かにしてあげるといいこと。

スマートフォンから鳴る目覚まし音が、ずいぶんと続いてから、ようやく眼が覚めた。 深い眠りのところで、セットした時間になったようだった。 昨晩はめずらしく出かけていたので、眠るのが遅かった。 さすがに寝不足か、身体の重さを感じたが、隣で寝ている…

ディープインパクトの死に想うこと。

ディープインパクトの訃報を聞いたのは、昼過ぎだった。 説明不要の名馬であり、オグリキャップ以来といえる社会現象を巻き起こした名馬の訃報。 史上2頭目の無敗の三冠馬、史上最多に並ぶGⅠ・7勝、当然ながら顕彰馬の栄誉に浴し、種牡馬としても偉大なる…

とてもしあわせな夢を見た気がした。

とてもしあわせな夢を見た気がした。 まどろみの中から出たのか、それとも夢うつつの中にいたのか、判然としなかった。 けれど、なにかしあわせな満たされた感覚だけは確かなようだった。 それをしようとしたわけでもないが、ぼんやりと開いた目は、まだ薄暗…

才能とは、絶望しないこと。

蝉というのは、私にとって特別な存在の一つだ。 幼き日々、どうやら寂しさを両手いっぱいに抱えていた小さな私は、いつも一人、近所の市民会館の横の小さな公園で虫捕りに勤しんでいた。 あれも、うだるような日差しの夏休みだったように思う。 共働きの父と…

運動会に感じた違和感と、その正体について。

5月の終わりに、息子と娘の運動会があった。 今年の5月は、梅雨入り前とは思えぬ強い陽射しの日が続いていた。 そのうだるような快晴の下、初めて体験する小学校の運動会。 私の頃は、10月ごろの開催と相場が決まっており、夏休み明けの厳しい残暑の中で…

捕っては投げ、投げては捕って。

仕事終わりに、キャッチボールを。 ソフトボールはこんなにも大きかったのかと思う。 捕っては投げ、投げては捕って。 投げては捕って、捕っては投げて。 パシン パシン 繰り返される心地よい音と、時折しびれるような左手の痛み。 繰り返すうちに、無心にな…