大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

旬の口取り

見上げれば。

時候は「霎時施/こさめときどきふる」。 なれど、晴れの日が続く。 見上げれば、秋の空。 綿のような雲に、秋の陽射しが色を差して。 このやわらかな陽射しの色は、秋の色。 どこかやさしく、どこかあたたかく。 それでいて、どこか寂しく。 だいだい色の、…

霜降、雨のあとに。 

めずらしく、丑三つ時に目が覚めた。 ぼんやりとした夢うつつの中、雨の音を聞いた。 再び目覚めた朝、まだその音は続いていた。 ここのところ、朝晩の冷え込みが感じられるようになっていたが、少し暖かな朝だった。 時に、「霜降」。 冷たい露が草木に宿る…

私の陰は、あなたの陽。あなたの陰は、私の陽。

秋の日はつるべ落とし。 その言葉の通りに、日に日に夕暮れが早くなっていく。 少し前まで、7時を過ぎてなお煌々と明るかったような気もする。 けれど、いまは気づけば5時で夕闇の足音が聞こえる。 秋の夜の、静かな夕闇。 虫の声、風の音。 夕闇のその静寂…

晩秋の訪いは、カラフルな葉の色とともに。

風が、少し冷たかった。 朝方見えていた陽の光は、雲の向こうに隠れてしまったようだ。 ひんやりと肌に触れる、その感覚。 その久しぶりの感覚にしばらく身を浸していたが、ふと我に返ってそれが晩秋の訪いを意味するのだと思った。 時候は「寒露」からもう…

秋、深まるという表現。

夏の終わりとともに透明度を得た空は、いつしかその青さに深みを増していく。 見上げれば、はっと声を上げそうになる青さ。 そんな日の空は、湖底を見渡しているような錯覚に陥る。 プラスチック樹脂で透明な製品をつくるためには、ごく少量の青色の着色剤を…

天使のトランペット。

雨が上がり、夜の帳が降りるころ。 私は走り出す。 濡れた路面は、月明りを映して光っていた。 湿った空気が、細かい霧のようになっていた。 陽の光の下とは、また異なる風景。 その一つ一つの色を愛でながら、私は挨拶を返す。 どこか甘い香りがした。 見れ…

寒露、滴る雨粒に。

朝、家を出た瞬間に「しまった」と思う。 前日の夜から降りしきる雨。 半袖では、もう冷える気温になったのだ。 家に戻り、上着を引っ張り出して車に突っ込む。 時候は、秋分から寒露へ。 朝晩の冷え込みに、冷たい露が降りる。 季節のめぐりは、いつも正確…

秋、日に日に深く。空、いよいよ高し。

秋が日に日に深まっていく。 もう朝晩は、半袖では少し寒いくらいだ。 すでに秋分も末候となり、「水始涸、みずはじめてかるる」の時候になった。 田んぼの水を抜いて、頭を垂れる黄金の稲穂を刈り取るころ。 落ち葉も目立ち始め、冬の気配も少しずつ。 だか…

満ちては、欠ける。

時に、神無月、日に日に深まる秋。 昨日は中秋の名月だった。 てっきり中秋の名月=満月だと思っていたら、昨日は十四日目の月だった。 「中秋の名月」とは、陰暦8月15日のことを指すが、満月の月例が年によって変化する関係で、必ずしも満月とイコールには…

長月終わりの空を見上げて、「願い」について想うこと。

もう長月も晦日。 道理で、朝晩の空気がひんやりと感じ始めるわけだ。 もうどこにもない真夏の日差しを、それでも探してしまうのは、どこか郷愁に似ている。 七十二侯では「蟄虫坏戸、むしかくれてとをふさぐ」のころ。 息子の大好きな虫たちも、もう冬に備…

彼岸花と秋の空に、強さとしなやかさについて想うこと。

朝の空気の涼やかさ、そして清浄さ。 空の透明度、高さ、そして行き交う雲の形。 日に日に、秋の深まりを感じる。 いつもの川沿いを歩くと、赤い彼岸花。 もう秋のお彼岸も終わってしまったが、その赤い特徴的な姿を見せてくれていた。 天を突くようにまっす…

秋分の日、はんぶんこの日。

幼い頃、「秋分の日」がなぜ祝日なのか、謎だった。 「敬老の日」や「勤労感謝の日」、あるいは「憲法記念日」なんかは、何となくおめでたいことなんだろうな、とわかるのだが、「秋分」とはなぜだろう、と。 この頃になると、運動会の練習をしていたことを…

どこで、つながるのか。

日に日に、秋の色が濃くなっていく。 朝晩は涼しく、もう半袖では肌寒いくらいだ。 日中の陽射しにも、夏の力強さはなく、透明感を増している。 もう明日には、秋分なのだから、それも当たり前といえば当たり前なのだが。 長月に入ったころから、小さな紫の…

暑さ、寒さも。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、今日からその彼岸入りである。 秋分の日を前後した3日間の7日間が、秋のお彼岸。 昼と夜がちょうど等分され、太陽が真西に沈むこの時期に、人々は「はるか彼方の向こう岸」である浄土に想いを寄せてきた。 季節の移り変わり…

ただ在る、長月。

春は、黄色からはじまる。 されど、秋には紫が、よく似合い。 そんな言葉を想起させてくれそうな、紫色だった。 その紫を愛でたのは、午前中だった。 少し緩んで透明感を増した陽射しの下で、揺れていた。 紫、パープル、高貴な色。 なぜか、秋にはその色が…

足元を見つめる、白露。

時候は「処暑」から、「白露」へ。 草木に降りた露が、白濁して涼しく見えるころ。 七十二侯でも、「草露白くさのつゆしろし」の時候。 日中と朝晩の寒暖差が、徐々に大きくなってくる。 ちょうど、夏から秋への端境期くらいなのだろうか。 季節は、めぐる。…

篠突く、長月。

出がけには、まだぽつりぽつりと頬を叩いていた。 それが、いつの間にか視界が悪くなるほどの勢いの雨に変わっていた。 雷が鳴いて、時折フラッシュが焚かれたような閃光が走る。 夏の夕立ちとは少し違う、怒気を孕んだ雨だった。 ワイパーの速度を上げる。 …

微笑む、長月。

ずいぶんと、夜が長くなった。 鈴のような虫の声が、微かに聴こえた。 それを感じたくて、走りに出る。 川沿いに吹く風は、どこかに熱気を置き忘れたかのように感じた。 どこか、炭酸の抜けた飲料のようで。 そのぬるい空気の中、自分の足音と息遣いが響く。…

咲く、長月。

日中の外気が、明らかに変わった。 夏のうだるような、思考が止まるような熱気はそこにはなく、どこか芯のない暑さだった。 雲が、出ていた。 明日からしばらく、天気は崩れそうだ。 見慣れぬ色が、目に留まった。 その場所は、昨日しおれた小さな花弁があっ…

枯れる、長月。

長月。 夜が徐々に長くなるから夜長月、そこから長月という説が有力らしい。 空を見上げれば、澄んだ色が広がる。 地に目を移せば、微かに咲いた花弁がしおれていた。 枯れる、長月。 = 空を見上げることと、路傍の花を見つめることは似ている。 ともに、そ…

別離に、慣れること。

時候は「天地始粛(てんちはじめてさむし)」、暑さも弱まりを見せるころ …のはずなのだが、残暑厳しい。 されど、季節は歩みを止めないようで、少しずつ秋の音色が響き始める。 「粛」の字には、「弱まる」という意味があるようだ。 その字の通り、息子が大…

灼けた肌が剥がれ落ちるように。

明らかに、雲の表情が変わった。 空の透明さが、増した。 うだるような外気温は、もうそこには無かった。 草むらから、チチチ、と涼やかな声がした。 もう、蝉の声はなかった。 = 「うわっ!おとう、何それ、キモッ!」 息子に気持ち悪がられて、肩から背中…

暑さも止む、夏が過ぎゆく。

朝の外気が、少し変わったようだった。 夏が本気を出しすぎたような、体温を超える危険な暑さの日が続いていたが、昨日の夕方に降った夕立から、何かが変わった。 打ち水をしたように、ぎらつくような外気温が少し引いたような。 気づけば、今日は「処暑」。…

小さな同乗者と、澄んだ色の空に。

不意に、社内で何かが跳ねた。 いや、跳ねたというより、「飛び跳ねた」と言った方が適切な表現かもしれない。 後部座席の方から、首筋のあたりにそれは飛び跳ねた。 思わずハンドルを切りそうになってしまい、握り直す。 走り始めてから、すぐのことだった…

蜃気楼とクロール。

そもそも運動神経は良くない方だが、それに輪をかけて水泳はダメだった。 家にバットとグローブがあって、ボールを投げることに親しんでいた分、球技はまだマシだったのかもしれない。 跳び箱、マット運動などの器械体操系は、まったく苦手だった。 軽々と跳…

意味のないことを、人は続けない。

駐車場に着いたときには、もう陽が高かった。 一宮市は、真清田神社。 春先に同じ時間に着いたときは、まだ早朝の空気があったのだが、さすがに8月のこの時期は勝手が違う。 境内には、もう暑気と呼べるような空気が満ちていた。 お盆を過ぎてから、夏が本気…

寒蝉鳴、ひぐらしなく。

お盆も終わろうとしているというのに、殊更に暑い日が続く。 今日の名古屋の最高気温は39℃。 その数字を聞くだけで暑くなりそうだ。 さすがに体温よりも高い外気温になると、風情も何もあったものではないように感じる。 私の子供のころ、こんな高い外気温に…

墓前と、空の青さに捧ぐ。

「ほおずき、全部出ちゃったんですよ。すいませんねぇ。なしでよければ、その分値引きしときますが」 構いません、と答えると、その年配の女性は手際よく仏花を白い紙で包んでいく。 お盆にほおずきはつきものだが、さりとて毎年利用しているこの店以外の生…

立秋。もう「残暑」と表現しなければならぬ寂しさよ。

秋、立てる日。 暦の上では、もう秋が来てしまったようだ。 七十二侯では「涼風至すずかぜいたる」、夏の暑い風から、秋の涼しい風が吹き始めるころ。 暑さはまだまだ厳しいが、ほんのわずかな風の色の移り変わりに、先人たちは心を寄せてきた。 食材の「走…

8月6日、祈り。

思ったよりも早く着いた。 すでに夏の力強い陽射しが、熱田神宮の杜を照らしていた。 車のドアを開けた途端に、蝉の声がシャワーのように降ってきた。 午前中によく鳴く、クマゼミの声。 息子がいたら、大喜びするのだろうか。 朝の早い時間、人気は少なかっ…