大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

日々の八寸

何も起きていない。

痛み、というものは意識を「いまこの瞬間」に強烈に引き戻してくれる。 それはある意味で与えられたギフトなのだが、実のところ、痛みを感じる瞬間というのは、大丈夫なのだ。 その瞬間は、何も起きていない。 ただ、在る、ということを知るだけだ。 = 久し…

お好み焼き慕情。

記憶というものは、感情と密接に結びついていることが多い。 そして感情というものは、何がしかの食べもの、音楽、風景、街…そういったものと結びついている。 ふとした瞬間に、忘れていたような記憶がよみがえることがある。 それは、忘れていたのだろうか…

意味という病。

息子が何度目かの、休日の約束をしてきたと言う。 近所に住む友だちと、日曜日の午後1時に川の橋のところで会う約束をした、と。 間に合うように早めに昼食を摂らせ、待ちきれない息子に急かされて、家を出る。 交通量の多い大通りを渡った公園に行くまで、…

問題は口にした瞬間に、その人の問題になるんですよ、と彼女は言った。

カタカタカタ… 「はぁ…」 カタカタ…カタカタ… 「ふぅ…」 「なんですか、さっきから。キーボード打ちながらため息ついて、うるさいですよ」 「あぁ、すんません」 「そうやってすぐ謝って罪悪感に浸るより、ちゃんと説明した方がいいですよ。めんどくさいんで…

娘、という存在。

何かの気配を感じて、目を覚ます。 ここはどこだったのか、しばしぼんやりしながら考える。 ふと目を遣ると、隣で寝ていたはずの娘が起きていて、こちらを見ている。 悪戯っぽく笑いながら、 おとうさん、おといれ、いっしょにいこう? と娘は言う。 ああ、…

どこかへ流れいったのはあの雲だったのか、それとも、私だったのか。

時速80kmで高速道路を走っている車がある。 後部座席に乗っていたあなたは、ふと窓の外を眺める。 さっきから変わり映えのしないガードレールの風景が、後ろに流れていく。 電信柱が、あっという間に視界の外へと流れる。 周りを走る車もなく、直線が続…

持て余す。

多くの人がそうであるように、私は私自身のことが見えない。 だから、他人の目線が必要なのだろう。 私が停滞するときは、「持て余す」ときらしい。 自らの力を、エネルギーを、才能を。 自分の起こした火で、自らの身体が焼け爛れてしまうように。 これは複…

自信って、そんなにも必要かな。

自信があるから行動できるのか、行動するから自信がつくのか。 「ニワトリが先か、卵が先か」の問いのように、答えのない話なのかもしれない。 あるいは、日が沈むから夜になるのか、月が昇るから夜が訪れるのか。 そのどちらもが真実で、ただ、それだけのこ…

「自分を愛せない自分」を愛する、「正しさを手放す」という正しさを手放す、というメタ視点。

自分を客観視することは非常に難しいが、同時に非常に大切なことでもある。 それは、自分という存在を「メタ」な視点から眺める、ということである。 映画や小説の中の登場人物から、それを眺めている観客、あるいは読み手の視点への変換。 そこに自己を客観…

子どもが大きくなるにつれて、問題もまた大きくなるとは言えど。

子どもが大きくなるにつれて、問題もまた大きくなるとよく言われる。 それは半分真実で、半分真実ではない。 子どもが大きくなるにしたがって、問題が大きくなるのではなくて、親自身の深い内面を癒すことが求められるだけのように思う。 結局のところ、子ど…

「自分」を知ること ~美味しいものを食べた時にどう表現するか?

美味しいものを食べた時に、どう表現するか。 いちばん最初に表現する五感の感覚が、その人の最も優れた感覚であることが多い。 その感覚を知ることは、自分を知る一つの手がかりになる。 = 先日、会食をしていた際に聞いた話なのだが、美味しいものを食べ…

ありがとう、2019年。

いよいよ2019年最後の日。 年の瀬の恒例行事になっている、「ほぼ日手帳」の中身の入れ替えをしている。 色目に惹かれた「ロビンエッグ」のカバーも随分と古くなってしまった。 変えようと思うのだが、なかなか愛着がわいてしまってそのままに。 201…

自分に料理を美味しくつくることのできる才能があるのだとしたら、と大将は言った。

イチローや松井は、毎試合、毎試合、出場し続けることに重きを置いていた。 その試合を観に来た人にとっては、その一期一会の一試合しかないからだ。 自分に料理を美味しくつくることのできる才能があるのだとしたら。 できるだけ多くの人に、それを伝えたい…

サンタってなんで夜行性なんですかね、と彼女は言った。

「いやー、外回りしてきたけど、街じゅうクリスマスの装飾でいっぱいだな」 「へえ」 「なんだ、その関心がない反応は」 「いや、実際関心がないです」 「へぇ…そうなのか。アレか、クリスマスだけキリスト教徒になって、一週間後には敬虔な神道になるのが許…

3歩進んで、3歩下がる。

しあわせは 歩いてこない だから歩いて ゆくんだね 一日一歩 三日で三歩 三歩進んで二歩下がる 水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」の歌詞から。 前進気勢のマーチにあわせた明るい雰囲気と歌詞は、やはり高度経済成長を遂げていた昭和という時代の香…

ほんの小さな出来事に 愛は傷ついて

www.youtube.com ほんの小さな出来事に 愛は傷ついて 君は部屋を飛び出した 真冬の空の下に 軽やかさの中にも寂寥感と哀愁を含んだアルペジオに乗せて、財津和夫さんの透明感のある歌い出し。 チューリップの名曲・「サボテンの花」は何度聴いても、センチメ…

月下寂寞再見。

月が、斬られていた。 座標軸を表すような経度線が、天体にかかっているように見えた。 飛行機雲か何かだろうか。 この遅い時間に、飛行機雲などができるのだろうか。 川の小橋の上、そんなことを考えながら、めずらしい天体の景色を見上げていた。 人はここ…

からすみ餅の大群と過去の自分に出会った日

よくも悪くも他人のことはよく分かるのに、人は自分のことを自分が一番分かっていない。 だからこそ、他人がいるとも言えるのだが。 そして、一番分かっていないのは、過去の自分のことなのかもしれない。 = さて、断酒も400日を越えた。 世間は師走の忘…

触れることは、意識を向けること。

触れることは、その対象に意識を向けること。 その対象に意識が向くと、当たり前が当たり前でなかったことに気づく。 当たり前ではないことは、「有難い」こと。 三段論法により、触れることは、感謝すること。 = 今週に入って暖かい日が続いて暖冬かと思っ…

臆病さ、という輝き。

私は今まで沢山の研修医を見てきたけど、大抵の研修医は実習になると我先に切りたがるわ。 だけど中にはあなたのように臆病で、いつもビクビクしながら切ってる子がいる。 得てしてそんな子がいい医者になるものよ。 今のあなたのままで、どんどん場数を踏み…

「君は君であるために生まれてきたのに、なぜそんなに一生懸命みんなに合わせようとしているんだい?」

Why are you trying so hard to fit in when you were born to stand out? 君は君であるために生まれてきたのに、なぜそんなに一生懸命みんなに合わせようとしているんだい? 映画「ロイヤル・セブンティーン」の中で、17歳の主人公のダフネ・レノルズが語…

「チャゲアスホイホイ」

昨日のエントリーで、CHAGE&ASKAの「HEART」について書いた。 kappou-oosaki.hatenablog.jp これが「チャゲアスホイホイ」だったようで、このアルバムをよく聴いていたという友人が記事をSNSでシェアして頂いたり、「私はOn Your Markが好きです!」というコ…

夏の忘れものとお別れしながら、時はいつか満ちるものだと思った一日。

道を歩いていると、燃えるような晩秋の色に出会う。 小雪から大雪に入り、もう完全に秋から冬へと移りつつあるが、最後に一番燃え上がるのかもしれない。 淡い色をした冬の青空と、赤い色の対比が美しい。 透き通った秋の空から、いつの間にかこの淡い色へと…

あとから見れば、どうでもいいことに人は頭を悩ませるものだと実感した話。

地下2階の駐車場に着いたのは、アポイントの20分前だった。 市内中心部の渋滞を考慮したつもりだったが、予想以上に順調に着くことができたようだ。 乗り慣れない社用車でも、まあ運転できるものだ。 薄暗い車内で少し休もうか、スマホでSNSでもザッピン…

いいことも悪いことも半々ってホントなんですかね、と彼女は言った。

「聞いてくださいよ」 「ああ、どうした、朝から」 「昨日、家からちょっと行ったところにあるパティスリーに行ったんですよ」 「なんだ、似合わないカタカナ使って。要はケーキ屋だろ」 「うるさいです。ちなみにパン屋さんはブーランジェリーです」 「お、…

2005年の自分からの手紙。

Webで注文していた2020年の手帳が届いた。 ページをペラペラとめくりながら、2019年ももう終わりかと思うと、感慨深い。 早いと思えば早いし、まだ1年も経っていないのかとも思える。 最近つとに、時の流れが歪んでいるように感じる。 = 手帳はも…

歳を重ねるほどに「待つ」ことができるようになる不思議。

「待つ」ためには、時間が必要だ。 けれど不思議なことに、人は年を重ねて、有限な人生の時間が残り少なくなるほどに、「待つ」ことができるようになるらしい。 = 種を蒔いて水と肥料をあげたら、待つことが必要になる。 日にち薬、という言葉があるように…

因果律を、手放す。

すべての事象には必ず原因があり、原因なしには何も起こらないという考えを、因果律と呼ぶ。 あの原因があるから、この結果になる。 合理的に見え、誰しもが納得できるように見える。 まったく関係ないように見える二つの事象に、つながりと関係性を見いだす…

意味づけ、という神話。

夏目漱石の晩年の思想は、「則天去私」という言葉でよく語られる。 私心を捨て、天の定める法則に従って生きる、というほどの意味だとされる。 「私の個人主義」を著し、その中で自我と他者、そして権力との相克を語り、「自己本位」について徹底的に考え抜…

「好きなことだから続けられる」のではなくて、「続けていると好きになる」。

やる気があるから、始められる のではなくて、 やり始めないと、やる気は出ない とても逆説的なのだけれど、どうもそれが真実らしい。 だとするなら、 好きなことだから、続けられる のではなくて、 続けていると、好きになる という方が真実なのではないだ…