大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

彩の強肴

遅めの初詣の参道は、暖かな雨に濡れて。 ~愛知県名古屋市「熱田神宮」 参拝記

冷たい雨もあれば、暖かな雨もある。 今日の雨は、後者だった。 前日までの冷え込みからすると、雪になってもおかしくないような気がしたが、朝の空気は、どこか暖かかった。 そんな雨に誘われたわけでもないが、熱田神宮にやってきた。 もう新年、迎春とい…

書評:アルフォンス・デーケン著「死とどう向き合うか」に寄せて

正月は 冥土の旅への 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし かの一休禅師の、正月に頭蓋骨を持ち街中を歩いたという、有名な逸話に出てくる言葉である。 昔は数えで歳を数えたため、正月に皆一斉に歳をとった。 正月のめでたさは、今でいう誕生日のめでたさ…

映画「えんとつ町のプペル」に寄せて。

西野亮廣さんの世界に触れたのは、絵本「えんとつ町のプペル」が無料公開されたタイミングだった。 調べてみると、無料公開されたのが2017年1月。 いまから約3年前だったそうだ。 うっかり仕事の昼休みに開いてしまい、涙で画面が見えなくなってしまったのを…

いつか通った道。 ~2020年ホープフルステークス 回顧

ホープフルステークスがラジオNIKKEI杯2歳ステークスから名称変更となり、中山競馬場に施行場所が変更となったのが2014年。 それ以来、施行時期というのが、いつもある種の議論の的となってきた。 「有馬記念の後か、先か問題」というものである。 「1年の締…

ブルーベリーの実る丘へ。

冬至を迎えた陽の光は、どこか優しかった。 記憶の中では、いつも夏の強い陽射しに包まれている農園。 師走の風に吹かれて、その赤くした葉が揺れていた。 訪れる前の週に12月としては異例の降雪があり、数日前まで雪は残っていたと聞いた。 道中を心配した…

時を刻む、冬の朝。 ~滋賀県大津市「近江神宮」参拝記

滋賀県大津市は近江神宮を訪れた。 名古屋から車で約2時間ほど。 大津インターを降りて、琵琶湖沿いに北上する。 訪れるたびに感じるのだが、滋賀県のこのあたりは「初見殺し」の道が多い。 特に路面電車と並行して走る道や、可変式の中央分離帯など、ナビが…

マイルの華。 ~2020年朝日杯フューチュリティステークス 回顧

感染症の拡大による人々の行動様式の劇的な変化。 無敗の牡馬・牝馬三冠馬の誕生、そして9冠牝馬との激突。 1年前では想像だにしなかったことが起こり、そして人知を超えた奇跡が多く起きた2020年。 そんな年も、時は過ぎゆく。 気づけば今年の関西最後のGⅠ…

鳥に引かれて、熱田神宮参り。

冬晴れの日、熱田神宮を訪れると、参道に鳥が。 トコトコと、私を導くように。 「牛に引かれて、善行寺参り」という説話がある。 信濃の国の老婆が、洗濯物をひっかけていった牛を追いかけていくうちに、日が落ちて真っ暗になってしまった。 さて困ったと思…

吉田松陰「留魂録」に寄せて。

折に触れて、「留魂録」を読み返す。 幕末に生きた思想家・教育者である吉田松陰。 自ら開いた私塾「松下村塾」において、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋といった、明治維新において極めて重要な役割を果たした志士を輩出した。 その松陰が、安政の…

白の結実。 ~2020年阪神ジュベナイルフィリーズ 回顧

コントレイルとデアリングタクトによる、無敗の牡馬・牝馬三冠の達成。 アーモンドアイによる芝GⅠの最多記録、9勝という偉業の達成。 奇跡の年として記憶されるであろう2020年に、また不滅の記録が誕生した。 白毛馬・ソダシによる、史上初のGⅠ勝利。 おそら…

師走の「こころの小径」をゆく。 ~愛知県名古屋市「熱田神宮」 参拝記

また、訪れる機会があった。 熱田神宮。 数日前に訪れたばかりだったが、その際は早朝だったので「こころの小径」がまだ開いていなかったのが、心残りだった。 不思議なもので、そういうときは近くを通るようになっているものだ。 そして、うまい具合に時間…

奇跡の価値は。

やってしまった。 ついに出た。 何がって、「ラッキーカード」である。 何のカードって、「プロ野球チップス」のラッキーカードである。 www.calbee.co.jp プロ野球チップスには、もともと「プロ野球選手カード」というオマケ(いや、こちらが本体か…)が付…

冬はつとめて。 ~愛知県名古屋市「熱田神宮」 参拝記

師走に入り、冷え込む朝が続く。 早朝に訪れた熱田神宮の空気も、どこか凛としている。 直近で訪れたのはいつだったかと思い、手帳をめくると、2週間前だった。 2週間で、ずいぶんと変わるものだ。 正門の鳥居の大きさを、改めて見上げながら。 今日は、いつ…

力勝負と快気祝い。 ~2020年チャンピオンズカップ 回顧

4コーナーを3番手で回る、前年の覇者。 単勝1倍台、圧倒的な1番人気に支持された、国内無敗の王者・クリソベリルと川田将雅騎手。 2020年のチャンピオンズカップは、そのクリソベリルに対し、前年の同レースで2~4着のゴールドドリーム、インティ、チュウワ…

チャンピオンズカップに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は、我らが中京競馬場で開催される、GⅠ・チャンピオンズカップ。 暮れの中京を舞台に、砂の精鋭たちが覇を競います。 そんな師走の大一番の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。 uma-furi.com サラブレッドは血のドラマだと言われ…

新時代。 ~2020年ジャパンカップ 回顧

2020年11月29日。 感染症禍の下、東京五輪は延期となり、人と会うことも、競馬場に足を運ぶことも、歓声を送ることもままならぬ。 誰の記憶にも残るであろうその年に、日本競馬は一つの頂点を迎えた。 史上初となる、三冠馬3頭による激突。 史上最多のGⅠ8勝…

秋冷の「こころの小径」を歩く ~愛知県名古屋市「熱田神宮」参拝記

「秋晴れ」の言葉が似合うくらい、よく晴れていた。 それでも、霜月下旬ともなれば、やはり空気は冷たい。 その冷たさと、日差しとのギャップが、どこか心地よかった。 いつもよりも、少し遅い時間での参拝。 境内の雰囲気も、また少し違って。 毎年1月5日の…

勝ちに不思議の勝ちなし。 ~2020年マイルチャンピオンシップ 回顧

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし 今年2月に逝去された、故・野村克也氏が生前よく口にされていた言葉だ。 相手が勝手にミスをして勝ちが転がり込んでくることがあるから、「不思議な勝ち」は存在するが、負けるときは必ず何か理由があって負…

尾頭橋・不朽園「不朽最中」に寄せて。

名古屋駅から車で10分ほど。 名古屋高速沿いに江川線を南に下って、JR東海道本線の高架をくぐったあたり。 JR・尾頭橋駅、名鉄・山王駅といえば、中日ドラゴンズの元本拠地・ナゴヤ球場とJRAのウインズ名古屋がある。 個人的には思い入れのあるそんな辺りに…

澄んだ空気、冬近し。 ~愛知県一宮市「真清田神社」訪問記

一宮市は、真清田神社に参拝した。 訪れるたびに、季節の移ろいを感じさせてくれる。 なにより、この一宮の土地にどっしりと腰を据えた、落ち着いた空気が好きだ。 やはり、自分の「生国の一之宮」だからなのだろうか。 朝の澄んだ空気の境内に、冬が近づい…

暴君の娘から、淑女へと。 ~2020年エリザベス女王杯 回顧

はたして「行ってしまった」のか、「行かせた」のか、それとも「行かざるを得なかったのか」。 ノームコアがハナに立つと、どよめきにも似た空気が阪神競馬場から伝わってきた。 鞍上が押していないところを見ると、無理に抑えてかかるくらいなら、気持ちよ…

エリザベス女王杯と出逢いに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

秋のGⅠシーズンもいよいよ佳境に入り、今週から年末までGⅠ・8連戦。 その劈頭は、晩秋の古都を彩る女王決定戦・エリザベス女王杯。 今年は京都競馬場が改修工事となるため、阪神競馬場での開催となり、例年とは違った趣となります。 そんなエリザベス女王杯…

待ちきれない。

時に、1989年11月9日。 ベルリンの壁、崩壊。 ツルハシで壁を壊し、その欠片を拾ってカメラに見せ、雄たけびをあげる男性。 壁の上に二人で座り、ピースサインを掲げる男女。 そんな大騒ぎが、テレビのニュース番組に映し出されていた。 なぜドイツが東と西…

水と追憶の熊野路をゆく3 ~和歌山県田辺市「熊野本宮大社/大斎原」参拝記

祈りと、水と、よみがえりの熊野古道・中辺路を経て、熊野本宮大社にたどり着く。 境内の奥からは、和太鼓の音が聞こえていた。 人の気配が感じられて、嬉しく思う。 バスで発心門王子前に降りてから、優に3時間。 やはり、雨の山道を歩くのは、時間がかかる…

水と追憶の熊野路をゆく2 ~和歌山県田辺市「熊野古道中辺路」参詣記

朝日は、見えなかった。 予報通り、朝から冷たい雨が霧のようになり、空を濡らしていた。 これから熊野古道に向かうのだが、お天道様は見えない日になった。 2年半前に同じ熊野古道を歩いたが、そのときは気持ちよく晴れていた。 予報を見れば、ピンポイント…

A(えい)

A(えい)。 いい響きである。 たとえば、将棋における順位戦の最高クラスは「A級」である。 「神童」と称されるような天才たちの中の、ほんの一握りがなれるプロ棋士、その中で「A級順位戦」に在籍できるのは、わずかに10人。 その10人の総当たりで、もっと…

水と追憶の熊野路をゆく ~和歌山県東牟婁郡「飛瀧神社・那智御瀧」訪問記

時に、「何かに呼ばれた」としか言いようがない旅がある。 なぜか、その地名を目にしたり、耳にしたりすることが重なったり、誰かに誘われたり、あるいはどうしてか、そこが気になって仕方がなくなったり。 私にとっては、熊野がそのような地だった。 2年半…

Threshold. ~2020年天皇賞・秋 回顧

20世紀に生きた、比較神話学の泰斗であるジョゼフ・キャンベル。 彼は、世界中の神話の中にある共通のパターンが存在することを見出した。 古今東西、世界の多くの国の文化、歴史を超えて、共通して立ち現れるこのパターンを、彼は「英雄の旅(Heroes and th…

目覚めの声。 ~愛知県名古屋市「熱田神宮」訪問記

夕方から、目の奥がチリチリと嫌な感じがしていた。 この感じは、頭痛の前兆だ。 こういうときは、早めに休みに限る。 朝起きても、目の奥のチリチリと頭痛の気配はおさまっていなかった。 その日は、所用の前に、久しぶりに熱田神宮を訪れようと思っていた…

祈る、ということ。 ~愛知県一宮市「真清田神社」訪問記

定期的に一宮を訪れる用事があるのだが、その度に真清田神社に寄る。 少し早めに家を出て、その空気を吸いに。 ここのところ、気持ちのいい秋晴れの日が続く。 振り返れば、鳥居から一宮の街が覗く。 かつて繊維業で栄えた、古い街並み。 玉砂利の音を聞きな…