大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

小さな先生

コミュニケーションの効用は、遅れてやってくる。

少し遅くなって帰宅すると、テーブルの上にノートと書き置きがあった。 「一つ かいたよ みてね」 ピンクのノートは、以前娘と交換日記をしていたノートだった。 久しぶりに、娘は私宛に書いてくれたようだ。 ノートに記された娘の今日の一日を読みながら、…

青々と実るドングリの下で、循環について想うこと。

風が、強かった。 久しぶりに、息子と娘と公園に行く道すがら。 春の嵐とは違って、どこか清浄な空気が頬を伝っていった。 秋分の日を過ぎて、力尽きたノコギリクワガタを埋葬しに行くためだったが、気持ちよく晴れた週末は、久しぶりだったような気もする。…

カブトムシの幼虫を求めて、古い傷の記憶をたどること。

しまった、安易だったと気づいた。 「今年もカブトムシの幼虫を飼うんだぞ」と息子が主張してきたので、いつも行くホームセンターに行ったところ、もう取り扱っていない、と返された。 シーズンもほぼ終わったので、もう外国産のカブトムシとクワガタの幼虫…

アイスクリーム、ぼとん。 ~痛みは、才能を正確に描写する。

あっ、という声を出す間もなかった。 息子が手にしていたアイスクリームが、プラスチックの棒からツツツ…と滑っていく。 ぼとん。 まだ夏の余韻に残る午後の陽射しに照らされて、コンクリートの上に茶色の染みになって広がっていく。 甘い香りに誘われたのか…

眠り、愛、悩み、肩甲骨。

「おとう、トントンして」 めずらしく一緒に寝る、と言って隣にきた息子がそういう。 娘に比べて、寝つきが悪いのは赤子の頃からずっとだが、それにしてもその夜は寝付くのが遅かった。 ああ、と答えて、息子の肩をトン、トン、とゆっくりと叩く。 小さな赤…

大瀬良大地のキラキラカードと、バランスを崩すことについて。

多くの男の子が通る道なのだろうか、息子もまた「プロ野球チップス」の野球選手のカードを集め始めた。 カルビーさんが出している、ポテトチップスに野球選手のカードが付いているアレである。 娘は一向に興味を示さないあたり、やはり女性よりも男性の方が…

「けのび」をするように。

夏の名残を惜しむように、息子と娘とプールにやってきた。 今日は少し遠出をして、市外の市民プールに。 市民プールにしては大きな施設で、流れるプールもあるらしい。 コロナ禍の影響で、波ができるプールやサウナは利用中止になっているが、それでも自宅か…

別離に、慣れること。

時候は「天地始粛(てんちはじめてさむし)」、暑さも弱まりを見せるころ …のはずなのだが、残暑厳しい。 されど、季節は歩みを止めないようで、少しずつ秋の音色が響き始める。 「粛」の字には、「弱まる」という意味があるようだ。 その字の通り、息子が大…

試される、日曜朝5時。

叩き起こされて、スマートフォンの時間を見ると5時だった。 頭が全く働かない。 目の前にいる娘が、起こした張本人らしい。 こっち来て、と言いながら部屋を出て行く。 天と地もあやふやなくらい寝惚けながら、私はその後をふらふらと追う。 娘は、自分のラ…

頑張って一人でどうにかする時代は、もう終わったんだ。

世代を越えて、つながれる遊びというものがある。 私と父の場合は、野球だった。 たまの父の休日にキャッチボールをして遊んだり、あるいは中日ドラゴンズの成績に一喜一憂し、ハレの日にはナゴヤ球場で観戦したりもした。 ナゴヤ球場で、父が居合わせた仕事…

何気なくしていることは、思ったよりもすごいことかもしれない。 ~セミ捕り戦記2020

夏である。 時候は「土潤溽暑:つちうるおうてむしあつし」。 熱気がまとわりつき、うだるような蒸し暑いころ。 長引く梅雨に、なかなか晴れ間が見えないので、「夏の成分」が足りないような気がするが、それでも蒸し暑さは格別である。 息子にとっては、カ…

我が子に嫉妬する、梅雨明け間近の空。

雨が、止んだ。 明け方には降りしきるその音で目覚めたが、この時期の天気は、よく移り変わる。 雲の隙間から、夏の日差しも見え始めたようだ。 蝉が、歌い始めた。 シャーシャーシャーシャーと鳴くあの声は、クマゼミだろうか。 敏感に反応した息子は、胸を…

蓮始開、アガパンサス、蝉の声。

ぼんやりとした目覚めに、蝉の声を、聞いた。 シャーシャーシャーシャーと鳴くあれは、クマゼミの声だろう。 今年初めての、夏の声だった。 息子もそれを聞いたようで、朝食も早々に早速の蝉取りに駆り出される。 一年ぶりに倉庫から引っ張り出したタモを握…

クワガタの発掘に、遠い昔の記憶を想うこと。

昨年の夏の終わりから、息子とクワガタの幼虫を飼っている。 クワガタの幼虫の飼育というのは難しいらしく、私も少年時代にそう聞いていた。 しかし、今はこのような「菌糸ボトル」が普及しホームセンターで売られており、これに幼虫を入れて、定期的に菌床…

ある春の日、桜を摘んだ思い出。

よく晴れた春の日、満開の桜が空を染めていた。 川沿いの桜並木を、息子と娘と歩いた。 息子は、たいそう桜を喜んで愛でていた。 その姿を見て、私は何歳くらいから桜という木の持つ特異性、すなわちその美しさ、はかなさ、そして強さを認識していたのだろう…

問題を解決しようとするよりも、ビジョンを観ることを。 ~クワガタ戦記2020

梅雨入り前の時期、一昨年、昨年とお世話になった同僚の「クワガタ先生」から目撃情報が入った。 そう、クワガタである。 梅雨入り前のこの時期から出始め、梅雨明けからはカブトムシと入れ替わる。 息子にそれを伝えると、一にも二にもなく、すぐ行く、と言…

子どもは、親がしたくてもできなかったことを、してくれる。

感染症予防のための活動自粛と、それにともなう休校が続いて久しい。 家で子どもと過ごす時間が増え、マリオやドラクエに遊んでもらったりしている。 休校期間も長くなり、小学校から渡された課題のドリルやプリントを教える時間も増えた。 ブーブー言いなが…

もしかしたら、クッパはマリオに「負けてあげていた」のかもしれない。

息子とマリオに遊んでもらう時間が増えた。 kappou-oosaki.hatenablog.jp 子どもの吸収力というのはすごいもので、あっという間に上手くなっていく。 それでも、「クッパ城」のステージは苦手なようだが、クッパまでの道中のプレイを私にやらせて、クッパを…

子どもたちに、何を教えられるのだろう。

大きな音を立てて、社会が変わろうとしている。 これまで常識だったものは一晩にして非常識になり、これまで資産だったものは裏返って負債となっていく。 インターネットも、パソコンも、スマホも、コロナウイルスもなかった子ども時代を過ごした私たちが、…

自分が誰かにしてほしかったことを、誰かにしてあげると満たされる。

「愛されたい」という渇きは、「愛すること」で初めて潤い、満たされる。 結局のところ、満たされない思いというものは、外部の誰かから満たされることはない。 真実はおそらくその逆で。 満たされない思いをしている他の誰かに、それを与えることで、始めて…

いつもマリオに、寂しさを癒してもらっていた。

家の中での時間の楽しみを増やそうと考えていたら、数年前に頂いて未開封だったゲーム機を見つけた。 「なんだ、それは!」と、食いつく息子。 開封して初期設定をして、以前に遊んでいたソフト「New スーパーマリオブラザーズ」を差し込んでみる。 走る、ジ…

4LDKがつくりたい。

「よんえるでぃーけーがつくりたい」 週末の夕方、息子がそう訴えてくる。 ほう、そうきたか。 先般、すったもんだしながらマンションを建設してからも、地下鉄の駅で配っているマンション・賃貸住宅の無料広告雑誌をしげしげとながめている息子が、そう言い…

罪悪感は、愛ゆえに。

身体が、浮いた。 いけるかと思ったが、甘かったらしい。 ハンドルはコントロールを失い、明後日の方向を向いた。 時間が止まるというのが、まさに正しい表現のように思えた。 したたかに、地面に身体を打ちつけた。 一瞬遅れて、衝撃と痛みがやってくる。 …

桃の節句に、娘を想うこと。

「どうせ、おとうは、僕よりも娘のほうがだいじなんでしょ」 罪悪感を刺激するのが得意な私の息子の、最近トレンドの手口だ。 罪悪感にまみれるのが大好きな私と、拗ねて無力感に浸りたい息子との凹凸は、どうもぴったりのようだ。 そもそも、ほんとうに息子…

来ない男、待つ男。

またか。 どうせ、来ないんだろうな。 そう、思ってしまった。 息子から、また近所のヨウイチ(仮)くんと遊ぶ約束をしてきたことを聞いたときの、私の偽らざる心情だった。 また約束を破られて、ガッカリする息子を見たくないのと、その後で私に八つ当たり…

いま目の前の世界が、テストの答え。

何気なく、机の上に置かれたテスト用紙。 「すごいな、たくさん丸がついてるな」 と言うと、息子は 「でも、10こも間違えてる」 と俯き加減に言う。 「間違えるってのは、すばらしいことなんだぞ」 「は?なんでだ?」 「だって、その問題が分かってないっ…

マンションがつくりたい。

「マンションがつくりたい」 週末の朝、息子がそう訴えてくる。 ほう、そうきたか。 マンションやアパートの広告の外観や間取りを、最近しげしげと眺めていた息子が、そう言い出すのは自然な流れのように思えた。 どうやって作るのかわからないが、息子は作…

意味という病。

息子が何度目かの、休日の約束をしてきたと言う。 近所に住む友だちと、日曜日の午後1時に川の橋のところで会う約束をした、と。 間に合うように早めに昼食を摂らせ、待ちきれない息子に急かされて、家を出る。 交通量の多い大通りを渡った公園に行くまで、…

娘、という存在。

何かの気配を感じて、目を覚ます。 ここはどこだったのか、しばしぼんやりしながら考える。 ふと目を遣ると、隣で寝ていたはずの娘が起きていて、こちらを見ている。 悪戯っぽく笑いながら、 おとうさん、おといれ、いっしょにいこう? と娘は言う。 ああ、…

子どもが大きくなるにつれて、問題もまた大きくなるとは言えど。

子どもが大きくなるにつれて、問題もまた大きくなるとよく言われる。 それは半分真実で、半分真実ではない。 子どもが大きくなるにしたがって、問題が大きくなるのではなくて、親自身の深い内面を癒すことが求められるだけのように思う。 結局のところ、子ど…