大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

サラブレッド

大いなるマンネリ。

「大いなるマンネリ」という言葉がある。 マンネリと聞くと蔑むニュアンスがあるが、「大いなる」という形容詞がつくことで、それは称賛に変わる。 時は、重ねるごとに味わい深くなる。 = 「大いなるマンネリ」の最たるものの一つが、競馬であろう。 年が明…

いつか通った道。 ~2020年ホープフルステークス 回顧

ホープフルステークスがラジオNIKKEI杯2歳ステークスから名称変更となり、中山競馬場に施行場所が変更となったのが2014年。 それ以来、施行時期というのが、いつもある種の議論の的となってきた。 「有馬記念の後か、先か問題」というものである。 「1年の締…

マイルの華。 ~2020年朝日杯フューチュリティステークス 回顧

感染症の拡大による人々の行動様式の劇的な変化。 無敗の牡馬・牝馬三冠馬の誕生、そして9冠牝馬との激突。 1年前では想像だにしなかったことが起こり、そして人知を超えた奇跡が多く起きた2020年。 そんな年も、時は過ぎゆく。 気づけば今年の関西最後のGⅠ…

白の結実。 ~2020年阪神ジュベナイルフィリーズ 回顧

コントレイルとデアリングタクトによる、無敗の牡馬・牝馬三冠の達成。 アーモンドアイによる芝GⅠの最多記録、9勝という偉業の達成。 奇跡の年として記憶されるであろう2020年に、また不滅の記録が誕生した。 白毛馬・ソダシによる、史上初のGⅠ勝利。 おそら…

力勝負と快気祝い。 ~2020年チャンピオンズカップ 回顧

4コーナーを3番手で回る、前年の覇者。 単勝1倍台、圧倒的な1番人気に支持された、国内無敗の王者・クリソベリルと川田将雅騎手。 2020年のチャンピオンズカップは、そのクリソベリルに対し、前年の同レースで2~4着のゴールドドリーム、インティ、チュウワ…

チャンピオンズカップに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は、我らが中京競馬場で開催される、GⅠ・チャンピオンズカップ。 暮れの中京を舞台に、砂の精鋭たちが覇を競います。 そんな師走の大一番の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。 uma-furi.com サラブレッドは血のドラマだと言われ…

新時代。 ~2020年ジャパンカップ 回顧

2020年11月29日。 感染症禍の下、東京五輪は延期となり、人と会うことも、競馬場に足を運ぶことも、歓声を送ることもままならぬ。 誰の記憶にも残るであろうその年に、日本競馬は一つの頂点を迎えた。 史上初となる、三冠馬3頭による激突。 史上最多のGⅠ8勝…

勝ちに不思議の勝ちなし。 ~2020年マイルチャンピオンシップ 回顧

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし 今年2月に逝去された、故・野村克也氏が生前よく口にされていた言葉だ。 相手が勝手にミスをして勝ちが転がり込んでくることがあるから、「不思議な勝ち」は存在するが、負けるときは必ず何か理由があって負…

暴君の娘から、淑女へと。 ~2020年エリザベス女王杯 回顧

はたして「行ってしまった」のか、「行かせた」のか、それとも「行かざるを得なかったのか」。 ノームコアがハナに立つと、どよめきにも似た空気が阪神競馬場から伝わってきた。 鞍上が押していないところを見ると、無理に抑えてかかるくらいなら、気持ちよ…

エリザベス女王杯と出逢いに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

秋のGⅠシーズンもいよいよ佳境に入り、今週から年末までGⅠ・8連戦。 その劈頭は、晩秋の古都を彩る女王決定戦・エリザベス女王杯。 今年は京都競馬場が改修工事となるため、阪神競馬場での開催となり、例年とは違った趣となります。 そんなエリザベス女王杯…

待ちきれない。

時に、1989年11月9日。 ベルリンの壁、崩壊。 ツルハシで壁を壊し、その欠片を拾ってカメラに見せ、雄たけびをあげる男性。 壁の上に二人で座り、ピースサインを掲げる男女。 そんな大騒ぎが、テレビのニュース番組に映し出されていた。 なぜドイツが東と西…

Threshold. ~2020年天皇賞・秋 回顧

20世紀に生きた、比較神話学の泰斗であるジョゼフ・キャンベル。 彼は、世界中の神話の中にある共通のパターンが存在することを見出した。 古今東西、世界の多くの国の文化、歴史を超えて、共通して立ち現れるこのパターンを、彼は「英雄の旅(Heroes and th…

奇跡の年。 ~2020年菊花賞 回顧

ファンファーレが鳴り、拍手が起こる。 この秋のシーズンを最後に改装に入る京都競馬場、その改装前の最後の菊花賞。 コロナ禍による入場制限がなければ、どれくらいの入場者数を記録したのだろう。 春の二冠馬・コントレイルと福永祐一騎手による、無敗の三…

好きなものには、衒いなく。

本が好きなのだが、「装丁の美しさ」というのは、本を選ぶうえで重要なファクターの一つだと思っていて。 それは、電子書籍にはない要素かもしれない。 書店に並んでいる多くの本の中で、ふと目に留まって手に取りたくなる装丁の本がある。 そうして選んだ本…

史上初の偉業は、おとぎ話のように。 ~2020年秋華賞 回顧

10月のやわらかな陽光が、ターフを照らす。 前日まで降っていた雨は上がり、馬場は稍重まで回復した。 感染症対策により高松宮記念から続いた無観客でのGⅠ開催だったが、秋華賞において、ようやく有観客での開催を再開するまでに至った。 事前抽選に当選した…

最後のピースは、最後方からの豪脚とともに。 ~2020年スプリンターズステークス 回顧

ビアンフェが、嫌がっていた。 鞍上の藤岡佑介騎手が促すも、ピタリと動かない。 もし、有観客での開催だったら、スタンドは大きくどよめいていたのだろうか。 もう20年以上も昔、天皇賞・秋で枠入りを嫌がっていたセイウンスカイの姿を思い出した。 あのレ…

オールカマーの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

昨日は、秋のGⅠシーズンの前哨戦となるオールカマーと神戸新聞杯がありました。 このふたつのGⅡの週がくると、いよいよ秋のシーズンだな、という感があります。 さて、そんなオールカマーですが、遥か30年以上も昔の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させ…

空飛ぶ想い出は、陽光とともに。 ~2020年ナッソーステークス 回顧

夏の陽光が、透き通ったその足を伸ばしていた。 イギリスはグッドウッド競馬場を映し出す画面を、見ていた。 世界で最も美しいと称されるその競馬場は、この夏の開催が白眉だそうだ。 「グロリアス・グッドウッド開催」とも称される、その美しい風景。 未だ…

書き手冥利と、書く怖さについて。

先日寄稿したウマフリさんへの記事に、ありがたい感想をTwitter上で見かけた。 泣いた。生きててくれてありがとう。現役最後のレース見に行けて本当に嬉しかった。君のファンで本当に良かった。 https://t.co/l1TEjSltv5 — でめきん@りお (@demekin00815) J…

中京記念の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は3回中京開催の掉尾を飾る、中京記念。 中京マイルを舞台に、サマージョッキーシリーズ、サマーマイルシリーズを形成する一戦。 そんな伝統のGⅢの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。 2018年、記録的な猛暑として記憶される夏。…

最大着差の最大幸福。 ~2020年宝塚記念 回顧

阪神内回りコース、2,200mという非根幹距離、開催最終週、そしてパンパンの良馬場にはならないこの梅雨時期の気候。 宝塚記念に求められる資質は、「府中・根幹距離・パンパン良馬場」で開催されることの多い主要GⅠとは異なる。 それだけに、この宝塚記念が…

宝塚記念の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

梅雨時期の仁川を彩る、夏のグランプリ・宝塚記念。 一年間の総決算となる年末のグランプリ・有馬記念とは異なり、どこか優しく、どこか「夢」というフレーズが似合うように感じます。 1996年、あの年の宝塚記念の記憶とともに、そんな記事をウマフリさんに…

水無月、府中への帰還。 ~2020年安田記念 回顧

ダービーが終わった後は、どうしても「祭りのあと」の虚脱感と弛緩がある。 あぁ、今年も終わってしまった、と。 けれども、翌週から行われる新馬戦と安田記念が、いつもその虚脱感を現実に引き戻してくれる。 私が競馬を見始めた頃は、夏の新馬戦と言えば、…

最高傑作は、風と共に。 ~2020年東京優駿(日本ダービー) 回顧

風を、マイクが拾っていた。 平原綾香さんによる、国家独唱。 本来ならばそこにあるはずの、興奮とざわめきの止まらないスタンドの歓声は、今年は無い。 このダービーの前の国家独唱が、たまらなく好きだ。 天皇賞にも有馬記念にもジャパンカップにもない、…

無観客で開催される日本ダービーに寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

今週末は、いよいよ日本ダービーです。 競馬の祭典とも呼ばれる日本ダービーですが、感染症の拡大を受けて76年ぶりの無観客での開催となります。 私自身も、昨年に引き続いて現地での観戦を企んでおりましたが、やむなくテレビでの観戦となりました。 そん…

ドラマとともに、紡がれる歴史。 ~2020年優駿牝馬(オークス) 回顧

時は小満、日増しに気温が上がり、太陽が力強くなっていくころ。 天地に生命が満ち溢れるといわれる時候。 一年で最も爽やかな2週間は、競馬ファンにとってもたまらない時間である。 2017年に生を受けたサラブレッドの頂点を競うオークスとダービーが、…

絶対美は、ドラマを越えて。 ~2020年ヴィクトリアマイル 回顧

馬なり、かよ… テレビの前で、思わず声が出てしまった。 最後の直線に入り必死に前で粘ろうとする3頭を、鞭も入れずに交わしていく。 のちの歴史的名馬が、衝撃のデビューを飾った新馬戦のような。 あるいは、インターハイ決勝に出るような高校生が、学校の…

美しき菊・盾・盾。 ~2020年天皇賞・春 回顧

新緑の色を詰め込んだような風が薫る、五月。 ようやく寒さを気にかけることも少なくなり、そして日中の陽射しに夏の太陽の薫りを感じ始める、一年で最も心地の良い気候の時期。 伝統の春の天皇賞は、そんな時期の淀で行われる。 かつて、ジャガーメイルが勝…

その末脚、薫る風を運んで ~2020年皐月賞 回顧

荒れた天気の後は、空気が澄み渡る。 台風にしても、大雨にしても、大嵐にしても。 それまで滞留して濁っていた空気をかき混ぜ吹き飛ばし、そして新しい空気を運んでくる。 記録的な大雨が過ぎ去ると、澄み渡った青空が広がっていた。 その陽射しとともに、…

ターフに散らばる奇跡を集めて ~2020年桜花賞 回顧

毎年開花が早くなる桜の開花宣言を聞くと、桜花賞まで咲いているか心配になる。 桜はその潔い散り方が美しいと言えど、やはり桜花賞のスタート地点には、あの淡いピンク色で彩って欲しいと思うのは、私の身勝手だろうか。 桜花賞は、美しいレースだ。 施行時…