大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

サラブレッド

奇跡の年。 ~2020年菊花賞 回顧

ファンファーレが鳴り、拍手が起こる。 この秋のシーズンを最後に改装に入る京都競馬場、その改装前の最後の菊花賞。 コロナ禍による入場制限がなければ、どれくらいの入場者数を記録したのだろう。 春の二冠馬・コントレイルと福永祐一騎手による、無敗の三…

好きなものには、衒いなく。

本が好きなのだが、「装丁の美しさ」というのは、本を選ぶうえで重要なファクターの一つだと思っていて。 それは、電子書籍にはない要素かもしれない。 書店に並んでいる多くの本の中で、ふと目に留まって手に取りたくなる装丁の本がある。 そうして選んだ本…

史上初の偉業は、おとぎ話のように。 ~2020年秋華賞 回顧

10月のやわらかな陽光が、ターフを照らす。 前日まで降っていた雨は上がり、馬場は稍重まで回復した。 感染症対策により高松宮記念から続いた無観客でのGⅠ開催だったが、秋華賞において、ようやく有観客での開催を再開するまでに至った。 事前抽選に当選した…

最後のピースは、最後方からの豪脚とともに。 ~2020年スプリンターズステークス 回顧

ビアンフェが、嫌がっていた。 鞍上の藤岡佑介騎手が促すも、ピタリと動かない。 もし、有観客での開催だったら、スタンドは大きくどよめいていたのだろうか。 もう20年以上も昔、天皇賞・秋で枠入りを嫌がっていたセイウンスカイの姿を思い出した。 あのレ…

オールカマーの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

昨日は、秋のGⅠシーズンの前哨戦となるオールカマーと神戸新聞杯がありました。 このふたつのGⅡの週がくると、いよいよ秋のシーズンだな、という感があります。 さて、そんなオールカマーですが、遥か30年以上も昔の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させ…

空飛ぶ想い出は、陽光とともに。 ~2020年ナッソーステークス 回顧

夏の陽光が、透き通ったその足を伸ばしていた。 イギリスはグッドウッド競馬場を映し出す画面を、見ていた。 世界で最も美しいと称されるその競馬場は、この夏の開催が白眉だそうだ。 「グロリアス・グッドウッド開催」とも称される、その美しい風景。 未だ…

書き手冥利と、書く怖さについて。

先日寄稿したウマフリさんへの記事に、ありがたい感想をTwitter上で見かけた。 泣いた。生きててくれてありがとう。現役最後のレース見に行けて本当に嬉しかった。君のファンで本当に良かった。 https://t.co/l1TEjSltv5 — でめきん@りお (@demekin00815) J…

中京記念の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は3回中京開催の掉尾を飾る、中京記念。 中京マイルを舞台に、サマージョッキーシリーズ、サマーマイルシリーズを形成する一戦。 そんな伝統のGⅢの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。 2018年、記録的な猛暑として記憶される夏。…

最大着差の最大幸福。 ~2020年宝塚記念 回顧

阪神内回りコース、2,200mという非根幹距離、開催最終週、そしてパンパンの良馬場にはならないこの梅雨時期の気候。 宝塚記念に求められる資質は、「府中・根幹距離・パンパン良馬場」で開催されることの多い主要GⅠとは異なる。 それだけに、この宝塚記念が…

宝塚記念の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

梅雨時期の仁川を彩る、夏のグランプリ・宝塚記念。 一年間の総決算となる年末のグランプリ・有馬記念とは異なり、どこか優しく、どこか「夢」というフレーズが似合うように感じます。 1996年、あの年の宝塚記念の記憶とともに、そんな記事をウマフリさんに…

水無月、府中への帰還。 ~2020年安田記念 回顧

ダービーが終わった後は、どうしても「祭りのあと」の虚脱感と弛緩がある。 あぁ、今年も終わってしまった、と。 けれども、翌週から行われる新馬戦と安田記念が、いつもその虚脱感を現実に引き戻してくれる。 私が競馬を見始めた頃は、夏の新馬戦と言えば、…

最高傑作は、風と共に。 ~2020年東京優駿(日本ダービー) 回顧

風を、マイクが拾っていた。 平原綾香さんによる、国家独唱。 本来ならばそこにあるはずの、興奮とざわめきの止まらないスタンドの歓声は、今年は無い。 このダービーの前の国家独唱が、たまらなく好きだ。 天皇賞にも有馬記念にもジャパンカップにもない、…

無観客で開催される日本ダービーに寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

今週末は、いよいよ日本ダービーです。 競馬の祭典とも呼ばれる日本ダービーですが、感染症の拡大を受けて76年ぶりの無観客での開催となります。 私自身も、昨年に引き続いて現地での観戦を企んでおりましたが、やむなくテレビでの観戦となりました。 そん…

ドラマとともに、紡がれる歴史。 ~2020年優駿牝馬(オークス) 回顧

時は小満、日増しに気温が上がり、太陽が力強くなっていくころ。 天地に生命が満ち溢れるといわれる時候。 一年で最も爽やかな2週間は、競馬ファンにとってもたまらない時間である。 2017年に生を受けたサラブレッドの頂点を競うオークスとダービーが、…

絶対美は、ドラマを越えて。 ~2020年ヴィクトリアマイル 回顧

馬なり、かよ… テレビの前で、思わず声が出てしまった。 最後の直線に入り必死に前で粘ろうとする3頭を、鞭も入れずに交わしていく。 のちの歴史的名馬が、衝撃のデビューを飾った新馬戦のような。 あるいは、インターハイ決勝に出るような高校生が、学校の…

美しき菊・盾・盾。 ~2020年天皇賞・春 回顧

新緑の色を詰め込んだような風が薫る、五月。 ようやく寒さを気にかけることも少なくなり、そして日中の陽射しに夏の太陽の薫りを感じ始める、一年で最も心地の良い気候の時期。 伝統の春の天皇賞は、そんな時期の淀で行われる。 かつて、ジャガーメイルが勝…

その末脚、薫る風を運んで ~2020年皐月賞 回顧

荒れた天気の後は、空気が澄み渡る。 台風にしても、大雨にしても、大嵐にしても。 それまで滞留して濁っていた空気をかき混ぜ吹き飛ばし、そして新しい空気を運んでくる。 記録的な大雨が過ぎ去ると、澄み渡った青空が広がっていた。 その陽射しとともに、…

ターフに散らばる奇跡を集めて ~2020年桜花賞 回顧

毎年開花が早くなる桜の開花宣言を聞くと、桜花賞まで咲いているか心配になる。 桜はその潔い散り方が美しいと言えど、やはり桜花賞のスタート地点には、あの淡いピンク色で彩って欲しいと思うのは、私の身勝手だろうか。 桜花賞は、美しいレースだ。 施行時…

行動と応援のふしぎな相関関係。

ありがたい後押しや応援があるから、やる気になり行動できるのか。 やる気になり行動したから、ありがたい後押しや応援が来るのか。 それは「ニワトリが先か、卵が先か」の議論と同じようなものかもしれない。 どちらも正しく、どちらも真実なのだろう。 さ…

数十分前と数十年前の記憶が交錯する白川公園の夜。

地下鉄東山線の伏見駅から、歩いて10分ほど。 名古屋の都心の一等地に、白川公園はある。 美術館と科学館が併設されて、緑と文化の風を感じられて心地いい。 高校時代、よくお世話になった。 田舎の街から地下鉄を乗り継いで通学していた私の定期券は、途…

遠くスタンドの歓声は海鳴りに似て ~晩秋の東京競馬場 訪問記

霜月の終わり、ジャパンカップ・デーに東京競馬場を訪れた。 この週は金曜日から雨が降り続いていたが、午前中に到着した時はかろうじて雨が上がってくれた。 七十二侯でいうところの「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」、曇り空が多くなって陽射しが弱まる…

変化を、怖れることなかれ。 ~令和元年のジャパンカップが教えてくれたもの

「世界に通用する馬づくり」のためにジャパンカップが創設されたのは、昭和56年だった。 それから数えること39回、奇しくも私と同じ齢を重ねてきた。 されど、今年の海外馬の参戦は史上初めて「ゼロ」となった。 年々、存在感を増す香港国際競争。 昨年…

トウカイトリックの寄稿記事に、たくさんの反響をいただきました。

www.uma-furi.com 昨日ご紹介した、こちらのトウカイトリックへの寄稿記事ですが、たくさんの反響をいただきました。 【新着記事】『[平成名勝負]175,100mの軌跡~2012年ステイヤーズステークス・トウカイトリック~』名ステイヤーといえばこの馬、という…

平成の名ステイヤーの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

人間にも得意・不得意があり、短距離ランナーとマラソンランナーがいるように、サラブレッドにも短い距離を走るのが得意な馬と、長い距離を走るのが得意な馬がいます。 短距離が得意な馬をスプリンター、1マイル(1,600m)あたりの距離が得意な馬をマ…

平成のジャパンカップの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

明日は国際GⅠ・ジャパンカップ。 令和初となる今年のジャパンカップは、昭和56年の創設以来初めて外国馬の参戦が「ゼロ」という、ターニングポイントとなる年になりました。 「世界に通用する馬づくり」という目標のために創設された同レースですが、近年…

天皇賞・秋の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

去る10月22日に即位礼正殿の儀が行われましたが、明日は「天皇陛下御即位慶祝 第160回 天皇賞(秋)」が実施されます。 慶祝競争にふさわしく、GⅠ馬10頭が揃った豪華なメンバーによって令和初の盾を争う名勝負に、胸が躍ります。 そんな秋の天皇賞…

菊花賞に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

さて、明日はクラシック三冠の最終戦・菊花賞ですが、平成6年の同レースの思い出に寄せて、競馬ブログ&WEBフリーペーパー「ウマフリ」さんに寄稿させて頂きました。 www.uma-furi.com 私が競馬を見始めた頃のスターホースが、ナリタブライアンでした。 そ…

報われる保証のない挑戦を続けることを、才能と呼ぶ。 ~2019年凱旋門賞を前にして

1969年のスピードシンボリからはじまった、日本馬による凱旋門賞の頂への挑戦。 ちょうど今年で半世紀が過ぎた。 日本競馬史を彩る綺羅星のような、のべ22頭の優駿による渡仏の歴史は、そのまま日本馬による海外遠征の歴史でもある。 1999年。 エ…

スプリンターズステークスの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

明日は秋のGⅠシーズンの開幕を告げる電撃の6ハロン、スプリンターズステークス。 秋の中山を舞台にした短距離王決定戦から、競馬ファンのハイシーズンが幕を開けます。 そんなスプリンターズステークスの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きまし…

曇天の秋の空の下、全人馬の完走を願って。 ~2019年清秋ジャンプステークス 観戦記

久方ぶりに中山競馬場を訪れた。 直近で訪れたのは、いつだったか。 たしか、ディーマジェスティが勝ったセントライト記念だったような気がするから、ちょうど3年ぶりか。 船橋法典駅からの地下道が、えらく空いているように感じる。 重賞も行われない土曜…