アタシ
「……うぅ…」 「もしもし?」 「…うぅ…」 「もしもーし、どうしたんですか?調子悪いんですか?」 「いや…鬼のような二日酔いで…」 「何だ、心配して損した。〇ねばいいのに」 「いや…二日酔いの辛さは、いっそ〇んだ方が楽になるような気がする…って、それは…
「はぁ…なんだかなぁ…」 「どうした、買ってきたビックリマンチョコを開けてみたら、全部ダブりだったみたいな顔して」 「なんですか、それ」 「いや、昔、ビックリマンチョコってのがあってな…」 「知ってますよ、今でもなんか別のキャラクターでコンビニで…
「はあ…」 「どうした、苦手なリコーダーのテストで、自分の番が回ってくる前の小学生みたいな顔して」 「なんですか、それ。アタシはリコーダーと得意でしたけど。あとトライアングルも」 「トライアングルって名前、久々に聞いたな…得意とかあるんか、あれ…
「いい営業と、そうでない営業の差って、なんだろうな」 「何ですか、突然」 「いや、何となく…」 「どうせ、またボスに何か言われたんでしょ」 「…そういうところ、すごいよな。カンなのか、よく人を見ているのか…」 「うーん、両方だと思います」 「ほんと…
「不満です、とても」 「ん?何が?」 「なんか、こうして出勤することが、また当たり前に戻ってるじゃないですか」 「あぁ、なんか緊急事態なんとかが出てたときは、みんなテレワークテレワーク言ってたけど、喉元過ぎればナントヤラだな。朝の電車も普通に…
「おぉ、すごいな、このVtuber…Twitterのフォロワーが10万人もいるぞ」 「あの…いちおう、『きんむじかんちゅう』ですが…」 「固いこと言うな」 「まあ、そういうアタシもトレンド見てますが…で、何て子ですか?…へえ…」 「全く知らなかったけど、10万人のフ…
「すごいぞ、これ」 「え、どうしたんですか?」 「この某取引先からの案内。『昨今の感染症拡大などの社会情勢を鑑み、従前行っておりました虚礼を廃止することといたします』だって」 「へぇ…って、キョレイって何ですか?」 「ああ、あんまり聞かないよな…
「友だちっています?」 「…は?」 「は?じゃなくて。誰か友だちっています?」 「…なんだよ、それ。唐突に…」 「いえ、課内でLINEグループを新しく作ったんですけど、社用のスマホのアカウント知らなくて。もし社内に『友だち』がいれば、その人に招待して…
(ガチャガチャガチャ…ターン…ガチャガチャガチャ…) 「…………」 (ターン…ガチャガチャガチャ…ターン…) 「なんだなんだ、さっきから。ガチャガチャとタイピングうるさいな。それに、そんなに強くEnterキーを叩くと壊れるぞ」 「ふんっ、壊れないですよ、アタ…
(…しーん…) 「どうした、どんよりオーラ出して」 「いえ…テレワークの古き良き時代を思い出してて…」 「なんだそりゃ。ついこの前まで、オンラインで全てがうまくいくわけでもないんですよね、とか何とか言ってたのを、聞いた気がするぞ」 「だって、すぐ…
(…きこえますか…きこえますか…午後の睡魔と闘う…在宅ワークのみなさん…いま…みなさんの…心に…直接…話しかけています…睡魔と闘うには…甘いものです…お菓子がなければ…ジャムや…はちみつなどでも…ワイルドに…いっちゃってください…きこえますか…) 「なんだ、…
「はぁ…(チラッ)」 「… … …(しーん)」 「ふぅ……(チラッ)…はぁ…(チラッ)」 「… … …(しーん)」 「もう!『かまってくださいオーラ』を醸してるんですから、ちゃんとかまってくださいよ!」 「なんだなんだ、朝イチから…始業前くらい、ゆっくり瞑想さ…
(ゴソゴソ…ゴソゴソ…) 「うわ、やべえ。切らしちゃったよ…しまったなぁ…」 「なんですか、朝イチから、心配してほしそうな一人芝居して。始業前くらい、ゆっくりNetflix観させてくださいよ」 「あぁ、心配してくれてありがとうよ。いや、切らしちゃってさ…
「やべえぞ、とうとうマジック3だ」 「なんですか、朝イチから。始業前くらい、ゆっくりYoutube観させてくださいよ」 「いや、あと残り3ロールなんだよ、ウチの」 「あぁ、なんだ。トイレットペーパーですか」 「もうそろそろなくなるんで、普通に買いに行…
カタカタカタ… 「はぁ…」 カタカタ…カタカタ… 「ふぅ…」 「なんですか、さっきから。キーボード打ちながらため息ついて、うるさいですよ」 「あぁ、すんません」 「そうやってすぐ謝って罪悪感に浸るより、ちゃんと説明した方がいいですよ。めんどくさいんで…
「いやー、外回りしてきたけど、街じゅうクリスマスの装飾でいっぱいだな」 「へえ」 「なんだ、その関心がない反応は」 「いや、実際関心がないです」 「へぇ…そうなのか。アレか、クリスマスだけキリスト教徒になって、一週間後には敬虔な神道になるのが許…
「聞いてくださいよ」 「ああ、どうした、朝から」 「昨日、家からちょっと行ったところにあるパティスリーに行ったんですよ」 「なんだ、似合わないカタカナ使って。要はケーキ屋だろ」 「うるさいです。ちなみにパン屋さんはブーランジェリーです」 「お、…
「ずいぶんと朝晩冷え込むようになってきたな」 「ええ、アタシも昨日、あわてて長袖のパジャマ引っ張り出しましたよ。辛うじて衣装ケースに入ってましたけど、さすがにクサクサしてました」 「いや、そこは洗濯してから着ようや…」 「いや、背に腹は代えら…
「どうしたんですか?怖い顔して…」 「あのヤロウ…ガチでゆるさねぇ…いつかタタリ神になって暴れた上に、七生祟ってやる…」 「えぇ…そんなことしたら、アシタカに矢をぶち込まれて終わっちゃいますよ」 「いや、それなら呪いを飛ばして、アシタカの右腕に死…
「もしもし」 「…」 「もしもーし」 「…」 「ゴルァ!!!」 「…」 「ふーん、あっそう…(ゴソゴソ)…あぁ、やっぱりふたばの豆餅は美味いなぁ…この塩味の効いた豆の食感とふわふわもちもちの白く輝く皮…そして舌触りなめらかなこし餡のハーモニー…もう一個…
「暑いけど、なんか夕方は暑さの勢いがなくなってきたな。そりゃお盆も終われば、もう秋か」 「終わっちゃった」 「は?」 「もう、終わっちゃった」 「何が?」 「決まってるじゃないですか、お盆休みですよ」 「ああ、そうだな」 「なんでこんなに短いんで…
「あっつーーーー、死んでしまう」 「外回りですか、おつかれさまです」 「あぁ、ものの1時間ほど運転してきただけで、身体中の水分が抜けそうなくらい汗が噴き出る。ほんと、あの運転席のドアを開けた瞬間の熱気を浴びると、夏が来たな、って思うよ」 「あ…
「買ってきたぞ」 「え!THE ALLEY?!ほんとですか?」 「どうぞ」 「あぁ、やっぱりこのカスタードとマスカルポーネチーズのコクと、ココアパウダーの苦みがアクセントで…って、これティラミスじゃないですか!タピオカ関係ないし!!」 「あれ、食べない…
「久しぶりじゃないですか」 「ああ」 「…なんか、ダウナーですね。またメンがヘラってるんですか?」 「そういうわけでもないが」 「そういうの、めんどくさいですよ」 「うるさい。落ち込んだり、気持ちの整理をしたり、自分を持て余したり、そんなときに…
「なんかダルいです」 「そりゃ、こんだけ真夏みたいに暑かったり、雨降って肌寒かったり、気圧が下がったり、環境が変わり過ぎたら、ダルくもなるよね」 「ええ、アタシなんて昨日うっかり窓を全開にして寝たら、明け方寒くて起きちゃったし」 「分かる。寝…
「暑いですね」 「ああ、今日は31℃だってよ。週末は33℃だし、もう真夏だよ真夏」 「気温を聞くとちょっとアレですけど、そんなに耐えられないほどでもないんですよね。これが6月に入って梅雨入りすると、アタシもうダメなんです」 「ああ、名古屋のこの…
「金曜日ですね」 「ああ、金曜日だな。週末だ。」 「アタシ、週末になると悩みがあって」 「ほう、それはいいことだ」 「えー、なんでですか、イヤでしょ、悩むの」 「いや、悩むってことは、それだけ自分にとって大事なことでしょ。それは、人生という航路…
「終わっちゃいましたね」 「何が」 「決まってるじゃないですか、10連休ですよ」 「ああ、そういえばそうだな。また通常運転が始まったってことだ」 「令和って、ずっとお休みが続く幸せな時代じゃないんですか?もうほんと、思ってたんとちがう…」 「ち…
「また来たんですか。そんなに暇なんですか」 「あぁ、暇なんだよ。だから相手してくれ」 「暇っていうより、寂しいんですよね」 「あぁ、そうだよ。寂しいんだよ」 「否定しないんですね…まぁ、アタシも寂しいクチですけど」 「あぁ、そうだろうな。類は何…
「アタシ、また今日も遅刻ギリギリだったんんですよ、もう毎日で疲れちゃいますよ」 「だからそんなに寝癖がついてるのか」 「ついてないです!…でも、ほんとに今日は起きた瞬間、ダメかと思いましたよ。何でアラームが止まってるんでしょうね」 「そりゃ、…