大嵜 直人のブログ

別れによって傷ついたココロは、出会いで癒される。私が辿ったそんな物語を「書く」ことをライフワークにしています。

何も起きていない。

痛み、というものは意識を「いまこの瞬間」に強烈に引き戻してくれる。 それはある意味で与えられたギフトなのだが、実のところ、痛みを感じる瞬間というのは、大丈夫なのだ。 その瞬間は、何も起きていない。 ただ、在る、ということを知るだけだ。 = 久し…

お好み焼き慕情。

記憶というものは、感情と密接に結びついていることが多い。 そして感情というものは、何がしかの食べもの、音楽、風景、街…そういったものと結びついている。 ふとした瞬間に、忘れていたような記憶がよみがえることがある。 それは、忘れていたのだろうか…

大寒。世界を隔てるもの。

今日は「大寒」、一年で最も寒さが厳しい時候。 例年のこの時期の朝は、極寒の中で車のフロントガラスの氷を溶かすという苦行に勤しむのだが、今年はまだ1回しか、その苦行をしていない。 底冷えする寒さを感じる前に、冬が終わってしまいそうだ。 = とは…

意味という病。

息子が何度目かの、休日の約束をしてきたと言う。 近所に住む友だちと、日曜日の午後1時に川の橋のところで会う約束をした、と。 間に合うように早めに昼食を摂らせ、待ちきれない息子に急かされて、家を出る。 交通量の多い大通りを渡った公園に行くまで、…

断酒日記 【442日目】 ~十牛図。執着して、手放して、最後は日常に戻る

さて、断酒442日目である。 特に大きな変化もないが、変化がないことを記しておくのも、また大切なことなのだろうと思う。 過ぎ去った歴史を振り返るとき、教科書などに残るような事件や政変よりも、その当時の「当たり前だった」生活風俗といったものが…

問題は口にした瞬間に、その人の問題になるんですよ、と彼女は言った。

カタカタカタ… 「はぁ…」 カタカタ…カタカタ… 「ふぅ…」 「なんですか、さっきから。キーボード打ちながらため息ついて、うるさいですよ」 「あぁ、すんません」 「そうやってすぐ謝って罪悪感に浸るより、ちゃんと説明した方がいいですよ。めんどくさいんで…

娘、という存在。

何かの気配を感じて、目を覚ます。 ここはどこだったのか、しばしぼんやりしながら考える。 ふと目を遣ると、隣で寝ていたはずの娘が起きていて、こちらを見ている。 悪戯っぽく笑いながら、 おとうさん、おといれ、いっしょにいこう? と娘は言う。 ああ、…

どこかへ流れいったのはあの雲だったのか、それとも、私だったのか。

時速80kmで高速道路を走っている車がある。 後部座席に乗っていたあなたは、ふと窓の外を眺める。 さっきから変わり映えのしないガードレールの風景が、後ろに流れていく。 電信柱が、あっという間に視界の外へと流れる。 周りを走る車もなく、直線が続…

持て余す。

多くの人がそうであるように、私は私自身のことが見えない。 だから、他人の目線が必要なのだろう。 私が停滞するときは、「持て余す」ときらしい。 自らの力を、エネルギーを、才能を。 自分の起こした火で、自らの身体が焼け爛れてしまうように。 これは複…

書評:落合陽一氏著「2030年の世界地図帳 新しい経済とSDGs、未来への展望」に寄せて

「現代の魔法使い」と称される落合陽一氏が昨年の秋に出版された、「2030年の世界地図 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」(SBクリエイティブ)の書評を。 = 昨年の春ごろだっただろうか、某メガバンクの行員の方とお話しした際に、襟元に見慣…

それでいいよ。

季節は過ぎゆくに任せるほかない。 凍える冬に、夏を恋しがっても仕方ないように。 うだるような夏に、冬の寒さを欲しても得られないように。 その寒さに不満を言うよりも、 その暑さを嘆くよりも、 ただそれらが過ぎゆくに任せるほかない。 全部受け止める…

自信って、そんなにも必要かな。

自信があるから行動できるのか、行動するから自信がつくのか。 「ニワトリが先か、卵が先か」の問いのように、答えのない話なのかもしれない。 あるいは、日が沈むから夜になるのか、月が昇るから夜が訪れるのか。 そのどちらもが真実で、ただ、それだけのこ…

「自分を愛せない自分」を愛する、「正しさを手放す」という正しさを手放す、というメタ視点。

自分を客観視することは非常に難しいが、同時に非常に大切なことでもある。 それは、自分という存在を「メタ」な視点から眺める、ということである。 映画や小説の中の登場人物から、それを眺めている観客、あるいは読み手の視点への変換。 そこに自己を客観…

書評:ユヴァル・ノア・ハラリ氏著「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」に寄せて

ずいぶん前に買って「積ん読」状態だった「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福」(ユヴァル・ノア・ハラリ氏著、河出書房新社)を読了した。 イスラエル人の歴史学者である著者による、世界的に大ヒットした本書は、そのタイトルの通り歴史書である。 歴…

断酒日記 【432日目】 ~レジャー化した競馬場と鉄火場のウインズ。どちらが魅力的かは、人それぞれだ。

さて、断酒432日目である。 多くの人にとって、最もアルコール摂取頻度が上がるであろう年末年始も、淡々とノンアル生活を続けていた。 慣れれば何のこともないものである。 これで断酒して1年2ヵ月と少しになる。 浴びるように飲んで酔っ払っていた頃…

書評:原武史氏著「<出雲>という思想 近代日本の抹殺された神々」に寄せて

昨年の冬至の前に伊勢志摩を訪れた。 夜明け前の外宮、宇治橋で見た日の出、そして早朝の内宮。 いずれも素晴らしい時間だった。 その影響もあり、もう少し伊勢神宮、あるいは神社について知りたいと思っていたところ、年末に立ち寄った書店で手に取ったのが…

仕事始めの小寒の頃、父を想うこと。

今日は二十四節気の一つ、「小寒」。 「寒の入り」とも言われ、これからさらに寒さが厳しく感じられる頃。 寒中見舞いが送り交わされるのもこの頃で、これから節分までの三十日間を「寒の内」と呼ぶそうだ。 実際にその通りで、暖冬と思っていたが昨日あたり…

子どもが大きくなるにつれて、問題もまた大きくなるとは言えど。

子どもが大きくなるにつれて、問題もまた大きくなるとよく言われる。 それは半分真実で、半分真実ではない。 子どもが大きくなるにしたがって、問題が大きくなるのではなくて、親自身の深い内面を癒すことが求められるだけのように思う。 結局のところ、子ど…

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅6 ~「旅館橘」名物かきのりと、旅の終わりに

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅1 ~三重県伊勢市・外宮(豊受大神宮) 訪問記 冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅2 ~内宮・宇治橋の大鳥居から日の出を望む 冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅3 ~三重県伊勢市・内宮(皇大神宮)訪…

「自分」を知ること ~美味しいものを食べた時にどう表現するか?

美味しいものを食べた時に、どう表現するか。 いちばん最初に表現する五感の感覚が、その人の最も優れた感覚であることが多い。 その感覚を知ることは、自分を知る一つの手がかりになる。 = 先日、会食をしていた際に聞いた話なのだが、美味しいものを食べ…

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅5 ~三重県志摩市・伊雑宮 訪問記

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅1 ~三重県伊勢市・外宮(豊受大神宮) 訪問記 冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅2 ~内宮・宇治橋の大鳥居から日の出を望む 冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅3 ~三重県伊勢市・内宮(皇大神宮)訪…

ようこそ、2020年。

新年あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 2020年を迎えた元旦に、このブログの「ブログ・ポリシー」をここに記しておきたいと思います。 2017年の8月から書き始めて、毎日更新を続けてきましたが、今年はさら…

ありがとう、2019年。

いよいよ2019年最後の日。 年の瀬の恒例行事になっている、「ほぼ日手帳」の中身の入れ替えをしている。 色目に惹かれた「ロビンエッグ」のカバーも随分と古くなってしまった。 変えようと思うのだが、なかなか愛着がわいてしまってそのままに。 201…

自分に料理を美味しくつくることのできる才能があるのだとしたら、と大将は言った。

イチローや松井は、毎試合、毎試合、出場し続けることに重きを置いていた。 その試合を観に来た人にとっては、その一期一会の一試合しかないからだ。 自分に料理を美味しくつくることのできる才能があるのだとしたら。 できるだけ多くの人に、それを伝えたい…

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅4 ~三重県志摩市・天の岩戸 訪問記

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅1 ~三重県伊勢市・外宮(豊受大神宮) 訪問記 冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅2 ~内宮・宇治橋の大鳥居から日の出を望む 冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅3 ~三重県伊勢市・内宮(皇大神宮)訪…

年の瀬に祖父の家を想うこと。

年末特有の押し迫った感じは、年々薄れていっているように感じる。 コンビニや商業施設が元旦や2日から開いているおかげで、山ほど食料を買い込む必要もないし、少し長い休み程度にしか感じない。 これが、東京から新幹線なり飛行機で帰省するとなると、ま…

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅3 ~三重県伊勢市・内宮(皇大神宮)訪問記

kappou-oosaki.hatenablog.jp kappou-oosaki.hatenablog.jp 宇治橋の大鳥居から日の出を望むことができたのは、僥倖だった。 7時を過ぎてから、鳥居山の稜線に分厚い雲が流れてきたときは難しいかと思ったが、奇跡のような瞬間をこの目で見ることができた。…

冬至を前に伊勢志摩をめぐりて陽を探す旅2 ~内宮・宇治橋の大鳥居から日の出を望む

kappou-oosaki.hatenablog.jp 外宮の駐車場を出て、内宮へと車を走らせる。 午前5時台。 昨年の1月に訪れた際には、ひどく渋滞していた32号線も、行き交う車はほとんどない。 街灯が照らす道路の上に黒い物体が見え、あわててハンドルを切って避けた。 …

サンタってなんで夜行性なんですかね、と彼女は言った。

「いやー、外回りしてきたけど、街じゅうクリスマスの装飾でいっぱいだな」 「へえ」 「なんだ、その関心がない反応は」 「いや、実際関心がないです」 「へぇ…そうなのか。アレか、クリスマスだけキリスト教徒になって、一週間後には敬虔な神道になるのが許…

クリスマスイブに寄せて、追憶と奇跡について想うこと。

時にふと、昔の記憶が甦ることがある。 よく聴いていた音楽を耳にしたり、以前に通っていた場所に足を向けたり、鼻腔をくすぐる香りが懐かしかったり、あるいは何か心に刻まれることが起こった季節がめぐってきたり、そのタイミングは様々だったりする。 そ…