「この眼に映る世界は、自らの内面を映し出したものである」とよく言われる。
心理学で「投影の法則」と呼ばれるものであったり、
あるいは「自分の周りの人は、自分を映し出す鏡」と言われたりもする。
その前提に立つのなら、自分の眼に映る人たちの魅力や才能は、全て自らの写し鏡であると言える。
その才能や魅力を理解できない者には、それは眼に映らないからだ。
それに憧れるのも、嫉妬してしまうのも実は同じ反応で、自らの中にある光が反応しているだけなのだ。
仮に昔の人がiPhoneのようなスマートフォンを見たとしても、何に使うのか、その魅力は何なのか、きっと分からないだろう。
それが何であるか、知らないからだ。
同じように、何かに対して美点や魅力、才能を感じることができるのならば、それは全て自分の中に必ず、ある。
風に揺れる花に美しさを感じるとしたら、美しいのはそれを感じる心の内面なのだ。
何かの音楽に惹かれるのであれば、その音楽のエッセンスや魅力が自らの心の内にある。
誰かのスピーチが心に残って止まないのであれば、きっと周りの人に深い感銘を与えることのできる才能がある。
それは否定しようが受け取り拒否しようが、どうしようもない真実。
相手の短所や欠点よりも、長所や才能を見ようという「美点凝視」ということもよく言われるが、それはめぐりめぐって自分の美点を凝視することに他ならないからかもしれない。
そう考えると、今日は誰に、何に魅力を感じるか、自分に問いかけながら一日を過ごすのも楽しい。
それは全て、自らの魅力の投影なのだから。