【言の葉割烹おおさき】へようこそ

人との別離で傷ついたココロは、人との出会いで癒される。私の辿ったそんな体験を、言葉にしてみたいのです。

自分を取り戻す、というプロセス 〜映画「グレイテスト・ショーマン」のメイキング動画に寄せて

いらっしゃいませ、「言の葉割烹おおさき」へようこそお越しくださいました。
店主のおおさきです。

 

映画「グレイテスト・ショーマン」のメイキング動画を久しぶりに観ましたが、前に観たときとは違った感想を頂きましたので、それに寄せて綴ってみたいと思います。

 

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そのメイキング動画はこちらです。

 

 

www.youtube.com


歌っているのは、R&B歌手のキアラ・セトルさん。


映画の作中では圧倒的に歌の上手いけれど、容姿にコンプレックスがあって人前に出ようとしなかった女性・「レティ」を演じておられました。

 

このメイキング動画が撮影されたのは、映画が製作に入る前のワークショップ。
キアラさんが初めて生歌を披露されたワークショップで、「THIS IS ME」という歌の素晴らしさから、この曲を自分が歌えるのか?という不安を抱えていた中でのものだったそうです。

 

そうした不安を抱えながらも、「それも私」と受け止めて一歩、また一歩と歩みを進めるその姿に、やはり魂が揺さぶられます。

 

問答無用で素晴らしい動画と歌なのですが、この動画を見ていると、「かけがえのない自分」というものを取り戻して歩いていく、という心理的なプロセスが浮かび上がってくるように思うのです。


実際に、この陰鬱な歌詞の歌い出しの部分のキアラさんは、歌詞のとおりマイクから離れて、遠慮がちに歌い出します。

 

I’m not a stranger to the dark
“Hide away,” then say
“Cause we don’t want your broken parts”
I’ve learned to be asamed of all my scars
“Run away,” they say
“No one will love you as you are”

私は暗闇を知っている
言われた「隠れていろ」
お前など見たくない
体の傷は恥だと知った
言われた「消えろ
誰もお前など愛さない」

 

生きていく中で受けた傷や恥、あるいは相手が負った心の傷ゆえに投げかけられた心無い言葉。


そうした経験から、人は周りの誰もが自分のことを「消えろ、誰もお前など愛さない」と思っていると思い込みます。

 

そうしたことが重なっていくと、悲しいかな、人は周りから「愛されるために」、

 

自分を出さないように、
できるだけ自分を抑えて、
当たり障りのないように、
周りに嫌われないように、

 

生きていくことを選びます。


「ペルソナ」と呼ばれる、心の仮面をかぶってしまうのですね。

 

悲しいかな、その動機は、誰しも「周りから愛されたい」という切ない想いが生み出す防衛本能からです。

 

しかし、往々にしてその試みはうまくいきません。


自分を抑え、周りに嫌われないようにすればするほど、人は愛から遠ざかります。

 

それは、人から愛されることもそうですが、

自分を愛することからも遠ざかります。

 

そうした自分への抑圧が大きければ大きいほど、人は自ら問題をつくりだします。

 

仕事、健康、お金、パートナーシップ、人間関係・・・

 

人生で私たちが抱える問題の全ては、こうした「本来の自分」から離れたがゆえに起こります。

 

その問題のどん底の中で、人は一粒の光を見ます。


どこまで落ち込んでも、やさぐれても、クスブッても、片時も離れない、「この私」という存在。

 

それが見えたとき、全てが反転します。

 

But I won’t let them break me down to dust
I know that there’s a place for us
For we are glorious

でも心の誇りは失わない
居場所はきっとあるはず
輝く私たちのために

 

この歌詞のフレーズに移ったとき、キアラさんの目に光が宿ったように見えます。

 

「For we are glorious」という歌詞を歌いながら、キアラさんが顔を横に向けるのが象徴的です。

 

もう、今のままでは生きられない。

私は私の道を往く。

 

そんな決意の感じられる目線です。


それは、まるでこの「THIS IS ME」という歌のエネルギーに、感化されたかのように。

 

どうしようもなく頼りない自分や、問題のどん底にも、一粒の希望を見つけたときの、人の顔。

それはどうしようもなく、美しいのです。

 

When the sharpest words wanna cut me down
I’m gonna send a flood, gonna drown them out
I am brave, I am bruised
I am who I’m meant to be, this is me

言葉の刃で傷つけるなら
洪水を起こして溺れさせる
勇気がある 傷もある ありのままでいる

これが私

 

力強い歌詞に乗せられて、キアラさんの目に光るものが。


歌い始めには頑なまでに静止していた身体が、何かに突き動かされるように揺れ動きます。

 

問題のどん底で反転した力は、自分を責めるベクトルが強かった分だけ、大きなエネルギーを産みます。

 

もう、これまでの自分では生きられない。

これが、私。

 

Look out ‘cause here I come
And I’m marching on to the beat I drum
I’m not scared to be seen
I make no apologies, this is me

気をつけろ 私が行く
自分で叩くドラムが伴奏
見られても怖くない 謝る必要もない
これが私

 

とうとう、キアラさんはマイクから離れた場所から一歩、また一歩と歩き出し、バックコーラスの前へと躍り出ます。

 

その目に宿るのは、怖れや恨みつらみではなく、どうしようもない「私」すらも出したいという衝動。


全身でリズムを感じながら、燃え盛る炎のようにバックコーラスを照らすキアラさん。

たまらず、男性がその熱量につられて立ち上がります。

 

Another round of bullets hits my skin
Well, fire away ‘cause todya, I won’t let the shame sink in
We are bursting through the barricades
And reching for the sun

心に弾を受け続けた
でも撃ち返す
今日は恥も跳ね返す
バリケードを破り 太陽へと手を伸ばそう

 

このパートの歌い出しの、バックコーラスの男性。

きっと、もっと上手く、伸びやかに歌うように練習を重ねてきたんじゃないだろうか、と想像してしまいます。

 

でも、キアラさんのこのむき出しのパワーを前にして、彼もまた「THIS IS ME」を演じ始めます。

 

叫ぶような、彼の歌声。

魂のこもった、その歌声。

 

それは決して上品ではないけれど、いまの彼のありのままの自分を、そのままに表現していて、聴く人の心を揺さぶります。

 

それに呼応するように、「戦士」という歌詞の中のキーワードを力強く歌うキアラさん。

その右手の握り拳が、また美しい。


光悦とした表情で、まさに「自分」という生そのものを燃やし尽くしているよう。

 

「自分」というものを表現するとき、人はこんなにも美しくなるものなのか。


そんなことを感じさせてくれるくらい、キアラさんはこのフレーズを情感たっぷりに歌い上げます。

 

(We are warriors)
Yeah, that’s what we’ve become
Won’t let them break me down to dust
I know that there’s a place for us
For we are glorious

私たちは戦士
戦うために姿を変えた
心の誇りは失わない
居場所はあるはず
輝く私たちのために

 

この「For we are glorious」のフレーズのところ。

バックコーラスの方たちの喜びようといったら!

 

そして、カメラがヒュー・ジャックマンはじめとした、スタッフの方を映すと、これまたノリノリ。

 

ときに人は「そのままの自分」を出すと、嫌われたり周りに迷惑をかける、という思い込みを持ちます。


それは全くの思い込みや誤解で、「自分」を出すことは、周りの人を大きく喜ばせるのです。

 

そして喜んでくれるのは、キアラさんと一緒にこの素晴らしい歌を歌うバックコーラスの方々のように、自分にとって大切な人ほど、それを喜んでくれるのです。

 

そんなことを気づかせてくれる、このパート。

皆が好きなように歌い、好きなように身体を揺らす。


それをつないでいるのは、「THIS IS ME」という素晴らしい歌。

 

本来の自分に還り、好きなものに没頭していくほどに、人の周りにはその好きなものをハブとして、たくさんの素敵な人の輪ができていきます。

 

観ているだけで、浴びるエネルギーの量が膨大な、このセッション。

 

And I know that I deserve you love
There’s nothing I’m not worthy of

私にも愛される資格がある
値しないものなど 何ひとつない

 

自分には足りないものなど何もなかったと気付いた瞬間、
世界一愛されることに自分が自分に許可を出せた瞬間、

 

美しく優しい世界が目の前に姿を現します。

 

そう、ただ気づくだけだったのです。

 

けれども、そうしたとき、ふと我に返る瞬間があります。


動画では3:50あたりから。

 

キアラさんの歌声にスタッフから称賛の拍手が出始めたときに、それは起こります。

 

曲調が変わってソロパートになった瞬間、キアラさんは我に返ったように眼鏡をはずします。

 

それまでの力強かった歌声は、一転してか細く、頼りなげに聴こえます。

 

いままでの力強さとは、うって変わって自信のなさげなキアラさんの歌声。

 

問題のどん底で反転したエネルギーで、「これが私」と今まで抑圧していたものを出していくと、そんな瞬間が訪れます。


振り子の重りが、逆の側に振り切って、再び戻ってくるように。

 

こんなことして大丈夫なんだろうか、という自分の中の怖れであったり、
そんなことは止めた方がいいと思うよ、という周りの声であったり、

普通に考えておかしいよ、という信頼していた友だちの意見であったり、

それこそ思わぬ人からの反対や反発であったり、

 

どんな形であれ、「自分」を取り戻すプロセスの中には、必ず、揺り戻し、というものは存在するようです。


神さまなのか仏さまなのか分かりませんが、そんな方からのテストや試験、と言ってもいいのかもしれません。

 

そうしたときに、噴き出てきた「怖れ」を乗り越えさせてくれるのは、やはり人です。

 

キアラさんも、「どうしたらいいのだろう」というような不安な眼差しでヒュー・ジャックマンさんに手を差し伸べて助けを求めます。


ジャックマンさんは、優しい眼差しで何度も頷きながら、彼女を勇気づけます。

 

どんなに彼女が引きこもっても、怖れを持っていても、彼女自身の持つ根源的な「光」を捉えて絶対に離さない。


ジャックマンさんはそんな力強い視線を彼女に送っているようです。

 

揺り戻し、が必ずあるとするならば、このジャックマンさんのような人も、必ずその揺り戻しのフェーズで現れます。

 

大切のなのは、そのときに素直に自分の「怖れ」を認めて、助けを求めること。


そうすれば、その手を握ってくれる人が、必ずすぐ近くにいるのです。

 

何も言わなくても、その手を握って頷いてくれたら、きっとまた歩き出せる。

 

キアラさんは、ジャックマンさんの手を自ら離して、また「自分の」歌声を響かせに歩いていきます。

そのときのジャックマンさんの優しそうな眼といったら!

 

動画の4:10過ぎの最後のコーラスは、そんな揺り戻しも怖れも「THIS IS ME」として乗り越えたキアラさんの、どこまでも透き通った歌声が響き、心を打たれます。

 

わずか数分前には、あんなに頼りなさげに歌っていた彼女からは、考えられないくらいの声量。

 

傷もある。
恥もある。

怖れもある。

それでも、私でいる。

 

かけがえのない自分を取り戻していく、ということ。


そんなプロセスがこのメイキング動画には詰まっているように、私には見えるのです。

 

この動画を観て心を動かされることがあるとしたら、それはきっとそうしたプロセスを端的に映し出しているからなのだと、久しぶりに観て感じたのです。

 

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いかがでしたでしょうか。
私も動画を観ながら書いていて、また本編の映画も観たいと思いました。

 

本編に寄せたブログはこちらです。

 

This is me, and You are me. ~映画「グレイテスト・ショーマン」に寄せて - 【言の葉割烹おおさき】へようこそ


映画と動画とあわせてお楽しみいただければ幸いです。

 

今日もお越し頂きまして、ありがとうございました。
どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。

 

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