大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

書評:本郷綜海さん著「あなたがここにいることの意味」に寄せて

今日は久しぶりに書評を。

ヒーラーズ・ヒーラーと称される本郷綜海さんの著書「あなたがここにいることの意味」に寄せて。

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少し前にネットの海を漂っていたときに本郷さんのお名前と、この本を出版されたことを知った。

その後どうもこの本のタイトルに惹かれて、本屋に立ち寄った際に在庫検索をしたところ、一冊だけ在庫があった。

こうなると、もう「呼ばれている」としか思えず、手に取ってレジに向かっていた。

この本は本郷さんが数年かけて書き綴ったものを集めたもので、それぞれのテーマに沿った1、2ページにわたる短い文章が収録されている。

読み始めてすぐに、本郷さんの表現される世界に惹き込まれた。

圧倒的なまでに深い、世界と自己への真摯な眼差し。

この世のことわりの一部に気づいてしまったが故の懊悩。

そして、その懊悩の深さがゆえの地に足が着いた安定感。

人の持つ矮小さを受け入れ、そして偉大さを許す姿勢。

そして、

自他を問わない人間への深い愛情と賛歌、豊かなウィットとアイロニー。

私がかつて高校生のときにニーチェを読んで、そのアフォリズムに心が揺り動かされたときの感覚を思い出した。

ニーチェしかり、この本郷さんの著書しかり、こういう金言が散りばめられた本は、全体を通して何かを学ぶというよりは、今の自分の心の琴線に響く言葉を拾っていくのが楽しい。

それが、「今の」自分に必要な言葉に他ならないからだ。

そして、それは読むたびに変わっていく。

本郷さんのこの本もまた、人生の季節が変わったときに読み返すと、また違った箇所から感傷を受けるのだろう。

「今の」私にとって心が動いたのは、「天職、魂の使命、情熱の発露、スピリット」という一節だった。

「いま」私の文章を読まれている方の中には、もしかしたら刺さる方もいらっしゃるかもしれないので、少し長いが引用させて頂きたい。

「ダイモン」っていう言葉、聞いたことある?

 

天職であり、魂の使命であり、情熱の発露であり、

そこに宿るスピリット、みたいなもの・・・かな・

見つけた人にはわかるのよ

これが自分の「ダイモンだ!」って。

 

もしも、あなたが

「見つけた!」「これだ!」と思えるものに出会えたら、

人生の幸福の半分は手にした、と思えるんじゃないかな。

ただし・・・それに出会っていながら

それを十分に表現していないと、

それは神聖なる「ダイモン」から、

あなたを苦しめる「デーモン」へと変わる。

 

それに出会っていながら(内心それを知っていながら)

「お金にならない」「仕事がない」と、

ブツブツ言っている人の多くは、

慣れ親しんだ場所から出ていくことを怖れて

動いていないだけなんだ。

 

そんな自分を責めるのはやめて

まずはやさしくしてあげて欲しい。

そして、少しでも勇気が出たら

そっと足を一歩前に出して、

夢の中に飛び込んで欲しいと心から思う。

 

飛び込んだあとは、結構コツコツなんだよ。

毎日、同じことの繰り返しだったりね。

 

場所がないとか、人が来てくれないとか、

どうしていいかわからにことも、

あなたにとっては、リアリティだと思うけれど、

創造的になってみて欲しいんだ。

案外、できることもあると思うよ。

今は、SNSで自分を表現して、他の人に見てもらうことが、

以前よりずっと簡単になってる。

 

かのエディット・ピアフ、フランスの世界的歌い手は

最初はストリートで歌いはじめ、

それからクラブの歌手になった。

あのピアフはストリートで歌ってたんだよ!

 

今は10億のグループ企業のオーナーとなった知人は

最初は2,000円でコーチングをし続けた、という。

 

私だってやり始めた頃は、

社員に、家族に、友人に、片っ端からお願いしては、

無料でヒーリングさせてもらった。

 

私は、お金がある方が素晴らしい、

売れている方が価値がある、という

考えの信望者では全くない。

だけどもし、あなたにお金がまわっていないとしたら、

もしかしたら、あなたがあなたの才能を独り占めして

誰とも分かち合っていないのかも。

 

それは、一種のケチだと思う。

 

そして、あなたがケチになった理由は、

なんらかの過去から来た傷だったり、

そこからの思い込み、だったりするわけだけど、

いったいいつまで、その「傷」に

自分をルールさせるつもり?

 

「傷」に人生仕切られちゃっているつもり?

(だからといって、自分を責めなくってもいいよ。

 自分にやさしく、がいつでもはじまり)

 

私はヒーラーズ・ヒーラーとか名乗って

ヒーリングもするし、グループワークもするし、

それでお役に立てている実感もあるけど、

実際、まだ傷だらけでもある。

 

だけど、ある日、決めたの。

 

「傷」に自分の人生でやるべきことを邪魔させない、と。

「傷だらけ」のままでも、自分の人生を生きると。

 

そうしたら!

その覚悟のおかげで、随分癒されちゃった! 本当に。

だから・・・あなたも飛び込んでみない? やってみない?

 

それは、ある人たちとっては、

コツコツとやるべきことを続けることかもしれないね。

そして、何より大切なことは、どんな自分も受け入れ、

愛すること。

「ヒーラーズ・ヒーラー」と称される本郷さんにして、いまだに「傷だらけ」でもある。

それでもそのヒーリングが、その言葉が、その存在が、おおくの人を癒しているという事実。

「傷」は痛いから、癒さないといけない。

過去のトラウマは解消しないといけない。

両親との別離の痛みを、癒さないといけない。

私の中にもそんな思い込みは、ある。

それを癒すことは、大切なことだ。

けれども、それとは違った面で、「自分の人生を生きる」こともできる。

「傷」すらも大切な私。

それを抱えたまま、歩いていくこともできる。

本郷さんがまさにそうされているように。

そんな勇気を頂きました。

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本のカバーに映る本郷さんの深く澄んだ瞳。

一度お会いしてみたいものです。