大嵜 直人のブログ

人との別離で傷ついたココロは、人との出会いで癒される。私の辿ったそんな体験を、言葉にしてみたいのです。

受け継がれる血と意志 ~1996年阪神3歳牝馬ステークス 雑感

今日から2018年の競馬もまたスタートしました。今年はどんなドラマが見られるのか、楽しみです。

 

今日は土曜日ですが、せっかくなのでお馬さんの言の葉を。受け継がれる血と意思の言の葉です。

 

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1996年、阪神3歳牝馬ステークス。

中段待機から鋭い末脚を伸ばして差し切りの勝利を収めた牝馬の名は、メジロドーベルだった。

 

そこから遡ること33年。

時に1963年、メジロクインという名の繁殖牝馬の初産は大変な難産になった。長い長いお産の末にようやく一頭の牝馬が無事に産まれたが、クインは力尽き命を落とした。

 

故・寺山修二さんはエッセイ「書を捨てよ、町へ出よう」の中で、

 

嵐にびしょぬれになりながら、厩舎の関係者たちは、メジロクインの死を惜しんだ初仔は、いわば祝福されずにこの世にあらわれたのである。

 

との言の葉をその初仔に寄せている。

 

数奇な運命を背負ったその仔馬は、周りの母馬への惜別の想いを乗せて、よく走った。メジロボサツという名を冠し、最優秀3歳牝馬を獲得するなど活躍した。

 

繁殖に上がったメジロボサツは、メジロナガサキを産み、ナガサキもまた7勝を挙げる活躍を見せた。そのメジロナガサキの3番目の牝馬が、メジロビューティー。

 

そしてビューティーと当時のメジロ牧場の雄・メジロライアンとの間に生まれたのが、メジロドーベルである。

 

受け継がれる母系。

メジロドーベルの母系は、そのままメジロ牧場の長い長い歴史が詰まっていた。

 

 

あの阪神3歳牝馬ステークスから21年が経ったいま、すでにメジロ牧場は解散してしまっている。

 

それでも。

 

メジロ牧場の意志を継いだレイクヴィラファームで産まれた、メジロドーベルの孫・ショウナンラグーンは2014年のG2・青葉賞を制した。

 

またメジロボサツの玄孫にあたるのが、日本と香港のマイル・中距離戦線を席巻し2015年の年度代表馬に輝いたモーリスである。

 

いずれの母系も、味わい深いストーリー。

 

悠久の時の流れの中でも、受け継がれる血と意志は、確実にある。

 

第69回、阪神ジュベナイルフィリーズ

少女たちの描く夢の競演。

 

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2017.12.10

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競馬の楽しみの一つに、「血統」というものがあります。

競走馬の血統表という文字と数字の羅列を見てトリップできるのは、立派なヘンタイさんの証拠です。男子中学生と何ら変わらない、ということでしょうか。

 

それは、この活躍している競走馬のお父さんは?というところから始まり、いろんな種牡馬の名前や産駒の特徴などを知っていったり、いっぽうで母系を調べてみたりして知識が広がっていくと加速度的に楽しくなっていきます。

 

そして何と言っても、自分が応援していたり実際に走っているのを見た競走馬が引退して、何年かのちにその子どもたちがターフに戻ってくると、もう何とも言えないロマンを感じるわけです。

 

今日の言の葉のメジロドーベルの血統表も、そんなメジロ牧場の歴史が詰まったものでした。かたちを変えても、受け継がれていく血と意志がある。彼女の戦績と活躍を見ていると、そんなふうに感じられます。

 

今日というレースも、連綿と受け継がれてきた血と意志によってできている。そしてそれはまた明日のレースへとつながっている。

 

そう思うと、何だか今日を生きる活力になるような気がします。

 

結局、馬が走るというただそれだけのことに、私はいろんなものを投影するから競馬がおもしろいと感じるのだと思うのです。

 

きっとそれは競馬に限らず、何でも同じなんでしょうね。お客さまがそんな風に楽しんでおられることは何でしょうか。

 

 

一段と寒くなってきた上に、明日から少し天気が崩れそうですね。

どうぞ、暖かくしてごゆっくりお過ごしください。