【割烹おおさき】へようこそ

ようこそお越しくださいました。当店の言の葉で、どうぞごゆっくりお楽しみください。

愛情は全てを溶かしてくれる

いらっしゃいませ。

 

・・・あれ、何か残念そうなお顔をされておられますね。

やはり女性がいる方が華があってよろしいですかね。

 

・・・まあまあ、そう言わずに。どうぞお掛けください。

 

今日の日中は久しぶりに汗ばむ陽気でしたね。

そろそろかな、と週末に長袖の服を出して衣替えをしたとたんに、この暑さでした。季節のめぐりは、三歩進んで、二歩戻る、そんな風に進んでいくのでしょう。昨日の心のプロセスと同じですね。

 

さて今日は芸術の秋ということで、音楽にまつわる言の葉をご用意いたしました。

 

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学生時代に、音楽を演奏していた。

 

初心者かつ完璧主義検定一級だった私は、人前で演奏することが怖かった。コンサート、演奏会、発表会・・・

 

どれだけ練習しても足りないと思っていた。人前で失敗して、凹んでまた怖くなって。

 

同学年に心に響くオーボエを吹く友人がいた。

彼はいろんな団体に属し、たくさんのコンサートに出演していた。

たくさん人前で弾いた方が勉強になるよ、と言っていた。

 

やっぱり上手い人は違うな、と当時は思っていた。

けれど今は違うように見える。

 

どれだけ自分を表現できるか。

どれだけ音楽が、人が好きだって言えるか。

不完全な今の自分を、どれだけ許せるか。

 

きっと技術や経験の違いではなく、その違いなんだと思う。

20年近く経って、ようやく気付いたよ。

教えてくれて、ありがとう。

 

そんな私でも、たくさん失敗しながらも無心になって演奏できたことがあった。

 

師走の忙しい最中、遠路はるばる家族が聴きに来てくれた学生最後の演奏会。

 

失敗も羞恥も劣等感も完璧主義も、

愛情は全てを溶かしてくれる。

 

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2017.4.14

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楽器を演奏することは楽しいですね。

そして、音楽はいろんなことを私たちに見せてくれます。

 

楽器がうまくなるコツの一つに、「人前でたくさん演奏すること」があることは、よく言われることです。人前で演奏することに慣れることもできるでしょうし、また他人の感想を聞くことは大きな気づきになります。

 

また「演奏会や発表会に出る」、というのも効果的ですね。限られた時間、締め切りというのは、何かを生み出したり成し遂げたりすることへの大きなモチベーションになり得ます。時間があればあるほど、作品の質は高くなるような気がしますが、有限な時間だからこそクオリティの高いものが創造できる、という方が人の創作活動には近いのかもしれません。

 

これもよく言われることですが、20世紀最大の美の巨人・パブロ=ピカソは、「青の時代」に始まる作風やスタイルを次々と変遷しながら、その生涯で15万点近い作品を残しました。飽くなきアウトプットを続けることで、彼の芸術性はさらなる高みに昇華され、また新しいステージを開いていったのでしょうか。

 

 

さて、今日の言の葉です。

 

人は往々にして完全なもの、完璧なものを求めます。

そうした自分にならないと、愛されないと思い込みます。

 

それは傷ついたり、痛かったり、寂しかったり、悲しかったりした経験からの反動なのかもしれません。

 

もし仮にそれが真実だとしたら、近い将来に人間の尊厳はAIに取って替わられることでしょう。完璧さや完全さを求めたとしても、そこには終着点はありません。日進月歩の進化を遂げるAIに、人間活動の全ては代替され置換されていくように思えます。

 

けれど、私はそうは思いません。

 

不完全だから、愛される。

欠点があるから、受け入れられる。

 

そう思います。

 

テクノロジーやAIが進化して、ますますその価値や能力を強固なものにしていくに従って、私たち人間の不完全さや欠点は輝きを増していくように思います。それは、世界に体温を宿すものだからです。

 

 

クサい話ではありますが、愛にまさるものはありません。

 

それは両親への愛だったり、恋人への想いであったり、わが子を想う気持ちであったり、ペットを愛することだったりするでしょう。

 

・・・ええ、もちろんその愛にまつわる面倒なものも、全てひっくるめて、です。

 

自らの不完全さや欠点に降参して、そしてそれが完全に自分という器におさまり切った瞬間に、そうした周りの近しいものたちの不完全さや欠点をも愛せるようになるのかもしれません。

 

いえ、その瞬間にはもうそれは欠点ではありません。光輝く魅力となっていることでしょうね。

 

 

・・・ええ、いいんです、酔っ払って明日には何も覚えていなくても。

私の好きな言の葉を、またお話しさせて頂く機会が増えるのですから。

 

 

どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。