【割烹おおさき】へようこそ

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コウテイペンギンと遊園地

 今日は二十四節気のうちの一つ、「寒露・かんろ」。

 

朝晩の冷え込みがはっきりと感じられる節気で、草や葉に冷たい露が落ちて秋の深まりが感じられる時期です。同時に実りの秋でもあり、さまざまな農作物の収穫の時期でもあります。

 

その通りに、やはり朝から冷え込みましたね。昔の人の教えや知恵というものは偉大なものです。

 

暦の上では3連休の中日ですね。今日はお休みでしたでしょうか?

・・・そうですか、それはお疲れさまでした。サービス業が増えた昨今は、シフト制の方も多く見えますね。

 

・・・左様でございますか、明日はお休みでご家族を連れてお出かけ。それは楽しみですね。

 

それでは、今日は季節と子育ての言の葉を。

 

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夏至の日に。

一年で最も昼の時間が長い日。

 

それは私の暮らす世界のことで、一方南半球では夜が最も長くなる。最果ての南極では、一日中太陽は地平線下にありその姿を表すことはない。

 

愛嬌たっぷりの飛べない鳥たちは、今ごろ産卵期。母親は産まれた卵を父親に託し、外敵も餌も存在しない内陸部から海岸へ、食物を求めて旅立つ。

 

母親が戻るまでの間、父親は絶食してマイナス60度、秒速50mを越える猛烈なブリザードにひたすら耐えながら、卵を足の上に乗せて大切に温める。雛が孵ると、自らの胃壁を溶かしたペンギンミルクを与えて飢えをしのぐ。その絶食期間は120日にも及ぶ。

 

母親が戻ると、父親はその痩せ細った身体を引きずり海を目指す。今度は交代で母親が絶食期に入り、蓄えた胃の中の食物を雛に与える。

 

よく知られた、コウテイペンギンの過酷な子育て。

 

極限状態の絶食期に、ブリザードの中に立つ彼らは何を見ているのだろう。

 

遠い海に溢れ返っているであろう魚やオキアミの夢か、雛への愛か、パートナーの無事か、待つことの意味か、それとも。

 

見たいように世界は見える。

夏至の今日はどんな世界を見ようか。

 

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2017.6.21

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昔からペンギンが好きでした。

子どものころ、家に「ペンギンのくに」という写真入りの科学図鑑があり、南極という極限状態の環境に似合わない愛嬌たっぷりのその鳥の写真と生態を、飽きずに何度も何度も眺めて読んでいたものでした。

 

その中でも心を惹かれたのが、数あるペンギンの種類の中の最も大きいコウテイペンギン。外敵の少ない南極の内陸部で、真冬の極寒の中で繁殖活動をします。外敵が少ないということは、同時に他の生物の影もなく食糧もありません。父親と母親が交代で、海岸までの数十キロの道のりを数か月かけて往復します。パートナーが帰るまでの間、待つ側は絶食となり、遠征するパートナーの身体には3匹分の命がかかっています。

 

小さかった私はなぜかこうした生態に惹かれ、南極に行きたいと夢見たものでした。

 

 

さて今日の言の葉の通り、私たちは見たいように世界を見ます。

 

これはそれぞれの個人が異なるものの見方を持っている、という人生論的な捉え方もできますし、心の深いところにあるものを現実に投影する、という心理学的な考えもできすし、量子力学の古典・二重スリット実験から科学的な根拠を持ち出すこともできます。

 

コウテイペンギンの子育てを、

絶食のある過酷な環境と見るか、

雛と離れずに過ごすことができる喜びと見るか。

 

心の奥底にしまい込んだ傷跡によって、

世界は私を傷つけるものと見るか、

それとも愛された記憶を受け取ることで、私は世界に愛されると見るか。

 

あらゆる結果が同時に存在している量子を、

粒子と観測するのか、

波として観測するのか。

 

 

全ては私たちに委ねられているのかもしれません。

 

明日、この世界を好きにデザインできるとしたら、お客さまはどんな世界を描きますでしょうか。

 

愛情と優しさにあふれた世界でしょうか。

笑いの絶えない楽しい世界でしょうか。

それとも、お化け屋敷のような恐ろしい世界でしょうか。

ジェットコースターのような怖い世界でしょうか。

 

私はチキンハートですので怖いのはご遠慮させて頂きたいのですが、遊園地のようにいろんな世界があっていいと思います。お化け屋敷のつぎは観覧車でも、メリーゴーランドでも、いつでも好きなものに乗ることができます。たくさんの世界を見てきた方は、きっとファストパスを取りに開園と同時にダッシュするように、この世界を楽しみたくて仕方がない方なのでしょう。

 

・・・え?私ですか?、、、ええ、まあ、ご想像に漏れず、開園ダッシュするタチですね。いいんです、楽しみたがりやですから。最近は降参しています。。。

 

ではグラスを傾けながら、お客さまの明日の乗りものを選ぶのも一興かもしれません。

 

 

どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。