大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

明け方に探すものは

今日は日中少し出掛けておりましたが、もう山の近くなどは夕方近くになると随分と涼しいですね。

本格的な秋の訪れを感じます。食べものも美味しくなって、お酒がすすみますね。

今日はそんなお酒にまつわるテーマを。


 

たまに深酒してしまうことがある。

ええ、たまにです。

ほんとうに、たまに。

動物的な帰巣本能のおかげなのか、どうにか家に帰り、脱いだ服をなぜかきちんと洗濯機に入れ、シャワーを浴びる。

それにしてもよく飲んだなー、明日という日が、二日酔いも大概醒める明後日くらいに来ればいいのになー、とか訳のわからんことを思いながら大概リビングで寝落ちするのだが、明け方に眼が覚めて無くしていないか必ず確認するものがある。

スマホと指輪。

酔っ払うと身につけているものを外したくなる習性がある私は、でき上がる前にその手のものは鞄に入れて無くさないようにするのだが、それでもなぜか気になって探してしまう。

それがなぜなのかいつも不思議に思っていたが、恐らく泥酔から覚醒するときに、本能的に無くすことを恐れているものを探してしまうのかもしれないと、あるときふと思った。

私にとってそれは、

スマホ=つながり

指輪=愛情

らしい。気づいてから思ったのだが、財布(=金銭的な象徴?)を探したことはあまり記憶にない。酔っ払って覚えていないだけかもしれないが。

無くすと怖いもの、それは自分にとって大切なもの。あぁ、やっぱりそうか・・・と降参する、運命思考第一位の私である。

とはいえ、この怖れに毎回向き合うのも億劫ではある。これだけテクノロジーが進歩した世の中、呑んだときに無くしてはいけないものを預けておいて、酔いが醒めたときに確実に届けてくれるサービスはできないものかと考えている。

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2017.9.21


 

はい、お恥ずかしい限りです。

そんなにお酒が強い方ではないのですが、35を過ぎて少し酔い方が変わってきたように思います。

それまでは、だんだんと酔いが回ってくる酔い方だったのが、急に酔いが回ってくるようになったような気がします。冷酒などでうっかりご機嫌になっていると、気付いた時にはすでに遅しの状態になってしまいます。

ペース配分を考えた飲み方を覚えないといけないのでしょうが、ことお酒に関してはなかなか学習能力が足りないようです。それよりも、筋肉の衰えがアルコールの分解を遅くするという情報を見るにつけ、筋トレを始めたりする始末。努力の方向性が違っているような気もしますが、あまり気にしないようにしています。

 

さて、お酒が入ると普段見られない心を垣間見ることがあります。不安になって明け方に探すものもその一部でしょう。

無くすことが怖いもの。それはとりもなおさず、その人にとって大事なものなのでしょう。けれど不思議なことに、それはぎゅっと握りしめていると、なおさら無くすことが怖くなります。

けれど、仮にそれを無くしたと感じたとしても、自分の外側の世界のそれを探しに行くのではなく、自らの内側に潜ってそれを探すことができたなら、不思議と心は落ち着きを取り戻し始めます。そして無くしたものなど最初からなくて、全てのものはすでに持っていたことに気付くのです。

人の心のこうした矛盾は本当に不思議ですね。

 

さて、せっかくお酒にまつわることでしたので、私の好きな言の葉を最後にもう一つ。横山秀夫さんの小説「クライマーズ・ハイ」の一場面からです。

母の言葉が頭に浮かんでいた。

酔わなきゃ本音を言えない人を信じちゃだめだよ。そういう人は本当の人生を生きていないからね――。

昔、等々力も似たような意味のことを言っていた。

飲んだら笑え。酔ったら歌え。話は明日だ――。

主人公・悠木の母親の言葉は私にとって耳が痛いので、最後の一行だけは実践するようにしています。

 

どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。

お忘れものがあっても、お預かりしておきますので・・・