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多度山に寄せて

今日は秋分の日ですね。

日中もずいぶんと秋らしくなって、海のもの、山のもの、里のもの、いろんな食べものが出てきます。

 

今日は鱧がいいの入っています。7月頃の「はしりの鱧」も生命力に満ちあふれて美味しいのですが、この時期の「落ち鱧」もまた脂がたっぷりと乗って、格別です。おすすめは松茸と一緒に小鍋で。玉ねぎと煮て甘みを出し、豆腐に旨味を吸わせて・・・

 

そして、行楽が楽しめる季節でもありますね。

 

さて今日はそんな行楽についての言の葉を。

 

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久しぶりに登った多度山に寄せて。

 

登ったといっても、標高400mちょっとでは、ハイキングと表現した方が的確かもしれないけれど。

 

遥かな水平線を見ていると心が解放され、癒されていく女性的な海と比べて、山はその男性的なエネルギーで内省と深耕を与えてくれる。

 

時折ウグイスの歌声が聴こえる以外は、静かな山道。ひとり、一歩一歩踏みしめるたびに、内面の意識はどこか遠いところで万華鏡のように移ろい、浮かんでは消えていく。

 

シダ科と思われる植物は前日の雨に喜んでいた。シダはこんな風に新芽を出すとは、知らなかった。

 

林立する杉はどこまでもまっすぐで、その放たれた直線のエネルギーにしばし目を閉じてみる。

 

ふとあまり見かけない青いトンボが青いトンボが小枝に止まっていた。

 

投稿のネタ仕込に余念がない私は、バッテリーの減りが極端に早くなったiPhoneを片手に、その美しい羽根を撮ろうとしたが、近づくと飛び立ってしまう。

 

けれどそのトンボはなぜか山道を先導し。視界から消えそうになると小枝に葉に止まり、私を待っていた。

 

iPhoneを向けると飛び立ち、先導してくれ、また飛び立ち。

 

そんな鬼ごっこをしばし繰り返した後、トンボは道を外れて飛んで行ってしまった。

 

もう、大丈夫だね。

 

そう、去り際に言われた気がした。

あのトンボは誰だったのだろう。

 

立ち尽くしてそんなことを考えていた私に、こんにちは、とすれ違う登山客が声をかけた。

 

こんにちは。

 

やはり、ひとりではない。

ずっと、ひとりではなかった。

 

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2017.6.9

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三重県の多度山。

麓の多度大社で例年5月に行われる「上げ馬神事」が有名ですね。

 

電車でのアクセスは、名古屋駅からJRもしくは近鉄で桑名駅まで。そこから養老鉄道多度駅へ。桑名駅から多度駅へは15分ほどですが、この養老鉄道、風景も車両も風情があって旅情に誘われることと思います。

 

さて多度山に登ったのは、一枚の写真がきっかけでした。

 

小学生だった私が、どこかの山の頂上で母親と撮った写真。

くせ毛たれ目の小さな私と、笑顔の母親。

その写真の場所を探して。

 

30年近く前に登った山がどこだったのか、おぼろげにも覚えていませんでした。子どもの頃に多度山に登ったという記憶を頼りに、登ってみることにしました。

 

しかし残念ながらハイキングコースを一周する中では、写真と同じ風景は見当たりませんでした。もしかしたら違うコースだったのかもしれませんし、はたまた違う山だったのかもしれません。

 

途中で出会ったあの青いトンボは、誰だったのでしょうか。

今になっても、ふとそんなことを考えてしまいます。

 

当初の目的は達成できなくても、多度山は素晴らしかったです。

 

 

さて、お客さまはどこかにお出かけされるご予定はございますか。

 

・・・左様でございますか、それは何よりです。

 

どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。