大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

季節のめぐりと英雄の旅

昨日は満月でしたね。

9月の満月ということで中秋の名月かと思ったら、今年は10月4日のようですね。曇り空でしたが、雲の切れ目から綺麗な月でした。

そして今日は二十四節気の「白露」です。昔の人は、草木に降りた霜が白濁したように見えることを、夏から秋への移り変わりの目印にしていたそうです。

今日はそんな季節の移り変わりの言葉を。


 

小さかった新芽も、少しずつ大きくなってきた。みずみずしい生命力の季節。

明日は小満。

日毎に上昇する気温に、あらゆる生命が天地に満ち始める頃の節季。

昔の人の季節の知恵というのは、素晴らしい。日々移ろう季節はたくさんのことを教えてくれる。

新しい命が芽吹き、燃え盛り、成熟を経て、そして死に至る。死はまた新たな命の芽吹きへと。一つの終わりは始まりであり、一つの始まりはまた終わりへと、螺旋階段のように回り続ける。

なんでもない毎日は、実はジョーゼフ・キャンベルの言う「英雄の旅」のサイクルに満ち溢れている。

抗うことなく、そのサイクルに身を任せよう。

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2017.5.20


 

ジョーゼフ・キャンベルはアメリカの比較神話学者です。

世界各地の神話や伝承には共通する物語の原型があり、それを「英雄の旅(Heroes and the Monomyth)」と呼びました。現代でも、ジョージ・ルーカスが「スターウォーズ」のストーリーの参考にしたと伝えられており、そのほかにも多くの映画や物語に採り入れられています。

 

その「英雄の旅」とは、

平穏に暮らしていたある日、平凡(だと思っていた)な彼(=英雄)は天命に気付き、冒険の旅に出る。そこでさまざまな試練を経るとともに、かけがえのない仲間や師に会い、そしてついに最大の困難を克服する。そこで宝物を手に入れ、故郷に帰還して王国を築く。やがて、また新たな天命に気付き、また旅に出る・・・

という物語の典型だそうです。映画や小説などの物語、そして「ドラゴンクエスト」のようなゲームにも、この「英雄の旅」との類似点を見つけることができそうですね。

 

季節のめぐり、人と人との関係も、また自らの内面も、多くがこの「英雄の旅」が指し示す成長モデルを辿るように思われます。

何かうまくいかないと感じるとき、目一杯大変で呼吸が浅くなるとき、自棄になってしまいそうなとき、はたまた握り締めたその手に成長を感じるとき。いろんな関係性や自らの内面が、はたして「英雄の旅」のストーリーのどのパートにいるのか、一歩引いて考えてみるのは意味のあることかもしれません。

また、それは満月を眺めるように、あるいは新芽が芽吹くのを見つけたり、草木に降りた霜が白濁しているのを見つけるように、日々の細部を見つめることと似ているのかもしれません。

 

お客さま自身の「英雄の旅」は、今どの章におられるのでしょうか。

どうぞ、ごゆっくりしていかれてください。